莉音さんから連絡を受け、駆けつけた時には、既に動かなくなった澪音がいた。


「澪音…なんで…?昨日はあんなに元気だったのに…」


悔しそうに泣きつくお母さんを、少し離れて見つめるお父さんと莉音さんの姿に、俺は立ち尽くす。


悪い夢をみているみたいだった。

頭がふわふわとしていて、ここが現実という確証が持てない。

眠っている澪音の口は、未だ呼吸をしているように見えて、俺は震える足で、澪音の元へと近付いた。

触れた澪音はまだ温かかった。


「…澪音?澪音、起きろよ。澪音…っ!」


肩から腕をさすっても、ピクリとも動かない澪音に、俺の心臓はずっと不愉快な音を立てる。


「旭陽。」


後ろから、莉音さんに支えられて、澪音から離れた。


「莉音さん、俺らさっきまで。」

「うん。あれが、最期だったの。あのまま、目覚まさずに……っ、いっちゃった。」

「そんな…」


もう一度眺めても、今にも目を開けそうな澪音。


「私達、部屋にいたのに、気付かなかったの。それくらい静かで…。」


莉音さんは顔を歪め、俺を支える手に力が入る。


「最期に見せた姿が、元気な姿なんて。澪音らしいよね。」


震える声の莉音さんに、俺は頷き、ただぼんやりと、澪音の顔を見つめていた。