「…っ、」


噛み殺す涙を、旭陽の優しく背中を撫でる手のひらが溢れさせた。


「本音でいいんだ。頼むから強がるな」


そしてまた、私の弱い覚悟は崩されて、旭陽の重荷になることを言ってしまう。


「……ごめんっ…。忘れないで。我が儘で自己中だけど、旭陽のことが大好きだった私がいたこと、覚えててくれたら、嬉しい…って思う」

「もちろん。こんなに心が綺麗で真っ直ぐな澪音に想われてることは、ずっと俺の誇りになるから。」


更に溢れ出す涙を、そっと、親指で涙を拭われる。

そして近付いてきた旭陽の顔に、自然と目を閉じると、優しく温かい感触が唇に落とされた。


「こんな幸せなキス。一生忘れられるわけねーわ」


意地悪な笑顔に、私も嬉しくなる。


「ありがとう、旭陽。大好き」

「俺も大好き。」


そんな恥ずかしい言葉を言い合って、恥ずかしくなった私達は、照れ隠しをするように、また面白おかしい思い出話を繰り返した。