その次目を覚ました時、旭陽は私のベッドの横に置かれたソファで眠っていた。

ずっと靄がかかったみたいにぼんやりとしてて、夢の中のような起きているのか寝ているのか分からないような感覚が続いていた。

だけど、その時間は不思議とすっきりとした目覚めで、私は彼の寝顔をしばらく見つめる。


起きるたび、旭陽はそこにいてくれていた。

起きている時間なんて大してないはずなのにずっといてくれるから、きっと彼の生活は私のせいで無茶苦茶だ。


「疲れてるよね。ごめんね…。」


思わず呟くと、その目はすぐに開かれた。


「あ…澪音起きてる?悪い、俺、寝てたな…。」


少しかすれた彼の声は新鮮で、私は小さく首を振る。


「ううん。旭陽の寝顔見れて嬉しいかも。」

「なにそれ」


旭陽は笑いながら、ストローのついたペットボトルを渡してくれた。


「ありがと」


水を少しだけ口に含み、私は旭陽を見つめる。


「眠たい?」

「いや?大丈夫」


無理しているかもしれない。

だけど、せっかくすっきりと起きられたから。こんな目覚め、もう無いかもしれないから…。


「少し話そう。ベッド起こしてほしい」

「え…大丈夫かよ…?じゃあ動かすぞ?」


そんなこと言うのは本当に久しぶりの事で、旭陽は驚きながらベッドの背もたれを起こしてくれた。


「あー、旭陽の顔正面から見れるの久しぶりだ」


ずっと下から見てたから。

そんなことまで嬉しくて呟くと、旭陽も笑う。


「なんだそれ、そんなんいつでも見せてやるよ」

「あはは、なんかうざいなー」


軽口をききながら、たくさんの思い出話をした