「お!旭陽来た来た!」

「うーっす!」


グラウンドのベンチで車いすを止めてもらい、旭陽を見つめる。

旭陽は、入った途端に多くの人に囲まれて笑っていた。


「お前、誘ってから全然こねーんだもん、振られたと思ったわ!」

「旭陽さん!お久しぶりです!」

「え、なに、お前草野球きてんの?勉強しろよ」


先輩や後輩に囲まれて話す姿からは、旭陽の人柄が伺えた。


「澪音ちゃん」

「あ、え…?」


突然、横から顔を覗かれ、私は驚きながらまじまじとその顔を見つめる。


「分かんない?大樹(だいき)。旭陽と野球一緒にやってた」

「あっ、大樹くん。分かる分かる!ビックリした…」

「良かった。高校でもクラス違うし全然会うことないもんね」


話しかけてきたのは、中学校で旭陽と仲良しだった大樹くん。

中学生ぶりで、しかも車いすで現れた私に対しても自然に話しかけてくれる人柄の良さは昔から変わらない。