そして、約束の日。

私は久しぶりに家の外へ出ていた。


「晴れたね」

「ね。野球日和。お弁当も楽しみだね」


車いすを押してくれる莉音ちゃんと、穏やかな会話をする。

朝方お母さんと莉音ちゃんで作っていたお弁当。

私もベッドで少しだけお手伝いをして、可愛らしく出来上がった。


「うっす。おはようございます」


家から出てきた旭陽は、ラフな運動着姿だった。


「ええ、ユニフォームじゃないの?」

「草野球でそんなんないっすよ」


莉音ちゃんと言い合う旭陽は、後輩っぽくてなんだか可愛い。


「澪音、今日は体調は?」

「良好です。楽しみにしてたからね!」


笑顔を見せると、旭陽はほっとしたように眉を下げて笑った。

外へ出ることなんてないから、不安なんだろう。

それを隠すような笑顔に、私はにこりと微笑み返した。