「そんな毎日来なくていいからね?せっかくの夏休みだし、私と違って勉強もしなきゃでしょ?それに草野球のチームにも入るって言ってたじゃん」

「いいんだよ俺が澪音といたいんだから。今日は何する?元気なら少し外出るか?」

「…縁側で、スイカ食べよ?」


毎日やってくる旭陽に、元気づけられていた私は、やりたいことが思いつくようになっていて。

自分でも少し歩くようにしたり調子よく毎日を過ごしていた。


旭陽のおかげで元気になれる。

だけどその分、旭陽に申し訳ない気がしてしまう。


「おっけ、ちょっと準備してくるわ」


ポンポンと優しく頭を撫で、部屋を出ていった旭陽に、私は泣きたくなった。


縁側で、旭陽とお母さんと並んでスイカを食べる。

足には冷たい水が貯められたバケツがおかれて、涼しみながら幸せなひと時を過ごした。


「私、旭陽が野球してる姿見たいな」


毎日来てくれて、きっと自分のことを何も出来ていない旭陽を想像した私はぽつりとそんなことを呟く。


「野球?なんだよ今日。気遣ってる??」

「だって昔から好きだったんだもん。だから、野球また始めるって聞いて私すごく嬉しかった。私のせいでやめてほしくないんだ」


旭陽は戸惑った顔で、私を見つめた。


「莉音ちゃん、グラウンドに連れて行って?旭陽見に行く。」


冷たいジュースを持ってきた莉音ちゃんに言うと、莉音ちゃんは旭陽を見てから、柔らかく頷いた。


「もちろん。旭陽も手伝ってくれるよね?」

「もちろんっす、澪音、ありがとう」


旭陽は嬉しそうに笑っていて安心した。