「それでも俺は、澪音の真実を知りたい。思いがあるなら思いを知りたい。俺、澪音を愛してます。」


突然の宣言に、私は驚いて体を起こす。


「振られたけど、気持ちは変わりません。今思えば、昔からずっと、惹かれていたと思います。
真っ直ぐで少しも濁っていない、澪音の強くて綺麗な心に、ずっと惹かれてます。」


聞いたことの無い、旭陽の真っ直ぐな言葉に、私は涙が堪えられなかった。


「…なに、それ」


小さく、呟いてしまう。


「澪音が話しかけてくれて、俺はその気持ちを思い出しました。
中学2年で、澪音が俺から離れて行って、そのタイミングで怪我して野球もできなくなって。
廃れてしまった心を、澪音が取り戻してくれたんです。」


少しの間を置いて、莉音ちゃんの声が響いた。


「澪音、聞こえたよね。」


小さく開かれたドアに、覗き込む莉音ちゃん。


「旭陽の想い、聞こえたよね?」


私は涙でぼろぼろの顔で、莉音ちゃんを見つめた。


「話してみたら?本気みたいだよ、旭陽」

「……っ、でも。」


言ってる間に、莉音ちゃんの後ろから、伸びてきた手が、ドアを更に広げる。


「澪音。話そう。聞きたいんだ」


その真っ直ぐな声に、私は涙で溢れる顔を両手で覆った。