それと同時に開かれたドアは、誰が開いたのかは分からない。


だけど、私が振り返る前に、


「み…「澪音!!!」


旭陽が私に駆け寄った。


「大丈夫か?」


心底焦った顔を見せた旭陽に、私の目からはとめどなく涙があふれ出た。


「……っ、莉音、莉音ちゃん……っ!」


旭陽の顔を見て、安心した自分がいた。

途端に、満たされる心に気付いてしまった。


でもこんなの…。もう、1か月もきっと生きられないのに。

残酷だよ…。


ぐちゃぐちゃの感情を、旭陽にぶつける訳にはいかず、莉音ちゃんの名前を呼んで泣きじゃくる。


「澪音…」


こんなに泣いたのは、病気になってから初めてだった。

ずっと、張りつめていた強い糸が切れてしまったみたいに止まらない涙。

莉音ちゃんも顔を歪めて、私を抱きしめる。


洗濯物を干していたお母さんが、私の泣き声に慌てて駆け下りてくる音が聞こえた。


「澪音!?…って、旭陽くん?莉音も、帰ってたの?」


情報過多な玄関にフリーズしたお母さん。


「とりあえず、澪音はベッド行きなさい。旭陽くんも上がって」