空いっぱいに花火が上がり、大きな音が響く。

色とりどりの花火が次々と上がるフィナーレの演出に私は目を奪われた。


嫌だ、終わらないで。

これが、最後なの。


つーっと一筋の涙が溢れる。

そんな私の願いも虚しく、終演のお知らせが響いた。


混雑の前に帰る人々が足早に去っていく中、私はしばらく空を見つめ続けた。


「終わっちゃった…」


ぽつりと零した本音に、旭陽は私の顔を覗き込む。

どうしても下がってしまう眉に、不思議そうにしながら、旭陽は私の頭に軽く触れた。


その控えめで、優しい手のひらからは、少しの緊張が伝わってくる。


「また、来年も一緒に来よう」


目を合わせないままそう言った旭陽の耳は真っ赤だった。

覚悟を決めるようにしてこちらを見つめた瞳が熱っぽく私を捕える。


私は、大きく痛む胸に、溢れ出しそうな涙に、ふたをすることで精いっぱいだった。