「浴衣着たかったのに…」

「浴衣はだめ。少しの時間ならいいかもしれないけど、外に出るんだから。お腹締め付けるから絶対だめ。」


当日、不思議と私の体調は良好で、リビングに降りてお母さんと言い争っていた。

不満げに見つめるも母も譲る気はないようで、見かねた莉音ちゃんが可愛い花柄のワンピースを持って間に入る。


「服貸してあげるから、浴衣は諦めな。これとかどう?夏っぽくてよくない?」


莉音ちゃんが持つワンピースは、悔しいけど私のタイプど真ん中で、唇をとがらせながらも私は頷いた。


「ありがとう、莉音」

「うん、任せてよ」


母と姉の会話なんて聞くことも無く、私はドタバタとそのワンピースに身を包み、髪やメイクのオシャレに勤しんだ。