澪音と昔のように話せるようになって2ヶ月程。


「あーさひ!帰るよ!」


きちんと着こなされた制服に似合わない、ハイトーンすぎる髪色は毎月変貌を遂げていて、今月は桜色に染められていた。

そんな風貌にも似合わない無邪気な笑顔で彼女はこちらを振り返る。

クラスからの好奇な視線を感じ、俺は少し周りを睨んだ。


「旭陽。今日も来ねーの?」


それに被せるように、高校からつるむようになった友人から声がかかる。


部活にも入らず、放課後を適当に過ごしていた俺に声を掛けてくれた、少しやんちゃな友達。

性格は悪くないんだけど、授業はさぼりがちで、夜の街で遊んでるような、そんな奴ら。


「あー…」


俺は澪音に視線を向け、口角を上げる。


「俺、しばらくいいわ。」

「はあ?なんっ」

「最近、楽しいから。」


自分でも無茶苦茶だと思う言い分に、彼らも不満気な表情を見せたが、その視線が澪音を捕えると、納得したように口元を緩める。


「なんだよ、だりいな」

「うぜえー!お幸せにな!!」


口の悪い二人に、澪音は怯えるように体を硬直させていたけど。

それがあいつらの応援だということは、付き合いの長くなった俺には伝わり、軽く笑う。


「大丈夫なの?」

「ああ。暇つぶしだから。」


学校とか、社会とか、家族とか、それぞれだけど不満があって、取り残されるような気になって。

そんな人たちが集まる夜の町。

その世界を教えてくれた彼らは、周りから見たら危ない人なのかもしれないけど。

俺にとっては、意味のない時間に意味をくれた大切な存在。


「わりいな、先に卒業するわ」


そんな独り言を、澪音は不思議そうに見つめていた。