進まない会話に、旭陽は少し考えてから再び口を開いた。


「思い違いだろ。俺思ってないこと言わねーし。」


その言葉と交わった視線の真っ直ぐさに私は息を飲む。


絶対言ったよ。鮮明に思い出せるもん。

そんな用意されていた言葉は出ず、私は伝わってきた旭陽の心を拾い上げた。


「それは…一緒にいたくないって思ってなかったってこと、だよね?」

「別に…元々そんなこと言ってねーし」


恥ずかしそうに視線を逸らす彼は、決して素直にはなってくれない。

だけど伝わる心に、私は嬉しくなって隣に並んだ。


「じゃあこれからは、昔みたいに一緒にいてもいい?たまには登下校も一緒にしてくれる?」

「は?何言ってんのお前。やだよ」


突っぱねて、早足で歩き始める旭陽。


「えっ!待ってよ旭陽!」


私が、慌てて後を追うと、旭陽はその足を少しだけ緩める。


口も態度も表情もクールだけど、心の温かさは隠し切れない。


「旭陽!これからよろしくねっ!」


嬉しくてそう微笑むと、旭陽はため息交じりに「ああ」と頷いた。