校舎を出てすぐ、掴まれていた手は離された。

少し前を黙って歩く旭陽に、私は話しかける言葉を選ぶ。


「一緒に帰るの、久しぶりだね」


選ばれたありきたりな言葉に返事は返ってこず、私はまた次の言葉を探す。


「なんで突然、関わろうとしてくんだよ」


次の言葉を選ぶ前に旭陽が口を開き、私は驚いた。


「なんでって…」


少しだけ考え、事実の部分だけ隠し、素直な気持ちをぶつけることにする。


「旭陽と仲直りがしたくて。昔みたいに一緒に過ごしたいと思ったの。」


旭陽は少し歩く速さを緩め「なんだそれ」と呟いた。


その呟きに、少しの温かさを感じた私。

嬉しくなって静かに微笑むと、また前から声がかかる。


「別に、喧嘩してねーだろ」


言い訳をするような言い方に、私は思わず噛み付いた。