足元から少しずつ感覚がなくなっていく。

あぁ、私は、このまま消えちゃうのか…。

もう少し、君の隣を歩きたかったなぁ…。

世界ってどうしてこんなにも残酷なんだろう。







「は…っ!!!」

またこの夢か…。

今日は8月1日、私の誕生日。

今日で私は17歳になる。

そして、“私が消えるまで” あと1年。

やることはもう決まってる。あとは、やるだけ!

「澪ー!朝ごはんできてるよー!」

「はーい!!今行くー!」

うちには、お父さんしかいない。

お母さんは20歳のときに泡となり消えてしまった。

なぜならば、“人魚”だったから。

この世界には0.01%の割合で人魚がいる。

そして、お母さんは人魚だったのだ。

その血を受け継いだ私も、もちろん人魚。

ただ、世界にいるほとんどは人間だから、人魚といってもずっと水に触れていなかったら見た目は人間。

だから、見分けがつかなくてものすごく珍しいの。

私は、友達にも自分が人魚という事は話してないから、知っているのはお父さんと私だけ。

「澪ー?起きてるのーーーー?」

「あっ、はーい!起きてるー!」

リビングへ行くとふわっと甘い香りがする。

「おはよう!もしかして今日、ホットケーキ!?」

「おはよう、そうだよ。澪が好きなホットケーキ。」

「やったぁ、ありがとう、お父さん!」

「あぁ、そうだ。お誕生日おめでとう、澪。」

お父さんは今にも泣きそうな笑顔でそう言った。

「ありがとう。もうっ、そんな顔しないでよー!」

「はは、ごめんごめん。今日は何時に帰ってくる?」

「んー、6時かなぁ。」