その日の夜は心地が良かった。
久しぶりに、明日の学校というものが憂鬱じゃなかった。

心も、体も、休まるのを感じる。

私はベッドに身を預けた。

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夢の中には、暖がいた。

いつも暖かくて、私に優しい笑顔を向けてくれる暖。

「暖!」

なのにいくら私が名前を呼んでも、彼はこちらを向いてくれない。

「ねぇ!暖!暖ってば…!」

彼は観念したのか、こちらを振り返る。

でも苦しそうな表情をして、私を見つめていた。

「ごめんね、もう冷と一緒にいられないんだ」
「…なんで?ねぇ暖!!っ暖…!」

私は、夢の中で泣いていた。
暖はそんな私を置いてどんどん暗闇の方へと消えていってしまう。

どうして?なんで私を置いていくの。
いくら呼んでも私の声が、暖には届かない。

私が泣き崩れていたとき、幼い頃の私がでてきた。

「……思い出して、忘れないで」

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「っ…は、る?」

目を開けると、まるで夢の中の私と同じように暖に手をのばすかのように私は手を上にあげていた。

暖が消えていく夢、どうしようもなく苦しくて、ただの夢だと分かっているはずなのに。

でもその夢は何故かすごく現実味を帯びていた。

本当に、暖がどこかへ行ってしまうような、そんな気がしたんだ。