さすがにこれ以上休むと家族や冷たちに心配をかけると思い私は学校に行くことにした。

「冷、おはよー!私がいなくて寂しかったー?」
冷に悟られないようにいつも通りを意識して話しかける。

「…はいはい、おはよ」と普段通りの冷の対応に内心ほっとする。

その時、珍しく冷から話題をふってきた。
「そういえばさ、湊ってチカの幼なじみだったよね」

突然冷から湊の名前がだされたことに驚いてしまう。
「………」
何も答えない私にチカ?と不思議そうに言う冷がいて慌てて口を開く。

「そ、そうそう!この前話した人だよもう忘れたの?」
あはは、と笑顔をはりつけながら冷に返す。

笑顔を絶やさないように、取り繕わないと、いつも通りに。

私は無理やりに口角をあげた。
意識しないと、冷に嫌な顔をしてしまいそうだったから。

けれど冷は私に追い打ちをかけるかのように話を続けた。

「私さ、湊に告白されたみたいなんだ」

その冷の言葉に、私は言葉を失いそうになる。

考え出したら止まらなくて、突っ走っていく湊。
やることが早いなぁと思ってしまう。

「っ……そうなの?!冷を好きとか見る目ある〜!で、肝心な返事はどうしたのよ!」

心臓がバクバクとなっているのが分かる。
冷と湊は、付き合ったのかな…。

「断ったよ。私、恋愛とか分かんないし。友達からならって話したの」

…よかった。
冷の答えにほっとする自分がいた。

けれどそんな自分がもっと醜く汚いもののように感じた。

湊の恋を応援できない上に、湊が振られたことが嬉しいと思ってしまうなんて最低だと思った。