そんな時、冷が誰だこの人…と怪訝な目で湊を見ていたのでまた人見知り発動してるよ、と笑いそうになる。

私は冷なら大丈夫だと思い、湊を紹介した。

「冷に言ってなかったよね、幼なじみの湊だよ。馬鹿だけど良い奴だから」と言うと冷は「どうも」と興味がなさそうに軽い会釈をする。

そんな冷の通常運転を見るとやれやれ、と思ってしまう。

湊はというと「冷ちゃんっていうの?よろしく!」と好青年という感じで冷に話しかけている。

彼はいっつもこんな感じだ。
私が昔からずっと湊のことを好きなことなんか知らないで、お構いなしに誰とでも仲良くなってしまう。

でも、それが湊の良いところでもあって私が好きに
なった理由の一つだった。

湊は、犬のように人懐っこくて、誰にでも優しくて
元気で、明るいお日様のような存在。

私が小さい頃転んで泣いていた時も『大丈夫か?俺がおぶってやる!』と言って笑顔にしてくれたり。

中学にはいってからも、私が辛い時湊はいつも私を
笑顔にしてくれる。
眠いはずなのになんてことない顔をして、朝まで一緒にゲームをしたりして忘れさせてくれる。

私をいつでも照らしてくれる。ヒーローみたいな人。
ずっとずっと大好きな人。

伸ばした髪も、頑張って練習したメイクも、ダイエットも何もかも湊に少しでもかわいいと思ってもらうためだった。

叶わない恋だと分かってる、私がどれだけ頑張ったとしても湊が私のことを恋愛感情でなんてこれっぽちも見ていないことも。

それでもこの関係がずっと続いてくれれば、それだけでいいと思っていたんだ。

でも現実はそんなに甘くなかった。