朝を迎えると、私は昨日の決意がすでに揺らぎ始めていた。
自分はどれだけ弱くて臆病者なんだ、と昨日の自分を疑ってしまう。

もし、チカと話が上手くできなかったらとか、突っぱねられてしまったらとかしょうもないことばかりが頭に浮かぶ。

でも……このままじゃだめだ。
私は、暖のためにも、そして自分のためにも変わると決めたんだ。

そう思い私は学校に向かった。

チカはまだ教室にはきていなくて、そこには暖がいた。
また、周りを見ると佳奈も学校にきていて私のことをジロリと睨んでいる。
けれど佳奈はきっと私が昨日倒れたことで無闇にちょっかいをだせないのだろう。

視線を感じるだけで何か言ってきたりすることはなかった。

私は昨日決めたことがある。佳奈の言うことに従ったりなんてしないと。

暖と私は話したい、これからも仲良くしたい。
それが私の本心で、誰と話すかなんていうのは私が決めることだ。

私が見るべきは佳奈ではなくて、チカだ。
チカが嫌だと思っていたらちゃんと話し合うべきだと思っている。

そう思い、私は佳奈のことは気にせず暖に話しかけた。

「暖、おはよ」
そう言うと暖は驚いたような顔をしたあとすぐに嬉しそうな顔になり「おはよう、冷」と返してくれた。

うっ…佳奈の視線が痛い。少し怖気付きそうになるが私は負けじと暖に話しかけた。

「昨日は、色々ありがとう…私気が動転してたみたいで迷惑かけちゃったね」

「迷惑なんかじゃないし、大丈夫だよ。冷が元気になったみたいでよかった」

優しく伝えてくれる彼を見るとやっぱり好きだな、と思ってしまう。

そんな時チカが教室にはいってきた。
「…ぁ」
思わず声がでてしまい心臓が脈打っているのがわかる。
チカの顔を見るも、緊張で何も言うことはできずに
そのまま黙り込んでしまった。