そして今に至る。

思い出したくもない過去だ。

高校生に入ってからはさっきのように、たまに絡まれるくらいでいじめのような事も減りつつあった。
けれどチカはクラスの中心人物ということもあって誰も私と関わりたいとは思わず話しかけてくる人はいない。

それにチカの近くには佳奈がいる。
佳奈は周りに少し怖がられているからあまり皆も関わりたくないのだろう。

教室の窓際に座り、ぼんやりと外を眺める。風が揺らす木の葉の音だけが、私に寄り添うように聞こえる。

時折、誰かの笑い声が耳に入るがそれはもう遠い世界の話だ。私はここにいるのに、誰も私を見ていない。けれど、もうそれでいい。

「誰かと話す必要なんてない」と、そう自分に言い聞かせる。だけど、胸の中では何かがずっと疼いているのも事実だった。

そんな考えを掻き消しながら、私は日常を過ごしていた。