授業担当の先生が「はーいじゃあ終わります」と言って皆が軽く礼をする。

私もしなければと頭をさげようとするが体に上手く力がはいらない。
ぁ…やばい、と思った瞬間にはもう遅く、顔が床に近くなっていき私はその場で倒れてしまった。

「…っ!...い!れい!!」
あれ…暖の声が聞こえる。

「…っ……冷」
か細い声が私の耳に届く……この声はチカ…?
声のする方向を見てみると、チカは顔を歪めて、目を見開いて私を見つめていた。

必死に心配そうに私の名前を呼ぶ彼に大丈夫だよ、と声をかけようとするが私の意識はそこで途切れた。

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目を開けるとそこには白い天井が広がっていた。
保健室だ。隣には座りながら眠っている暖がいた。

もしかして、ずっと近くにいてくれたのだろうか。

授業だってあるだろうにわざわざこんなことしなくても、と思う反面私はそんな暖の優しさについ顔がほころんでしまう。

随分と眠っていた気がする。
おかげで体調の方はスッキリとしていたが心はモヤモヤしたままだった。

あの後、周りがザワザワと騒がしくなってきて。
急に浮遊感を感じ、薄らと目を開けると暖が私を抱き抱えていた。

その時の暖の顔はすごく悲しそうで、苦しそうで、壊れ物にでも触れるかのように丁寧に優しく私を抱えてくれていた。

なんでそんな辛そうな顔してるの、と思ったけれど薄れゆく意識の中では口にだすことはできなかった。

きっと保健室まで運んでくれたのは暖だろう。

「…迷惑かけちゃったな」

きっと周りのクラスメイトも何事だと思っただろう。それに授業担当の先生だって生徒が倒れたりしたら色々と面倒なはずだ。

何で私はいつも肝心なとこで周りに迷惑をかけてしまうのだろうか。

昨日だってそうだ。私があんな感情的になんてならなければ涼香先生がわざわざあんなことを言わなくてすんだだろう。