「ねえー冷、これどういうこと?」
声のする方を振り返ると話しかけてきたのは佳奈だった。

予想外のことに目を見開いてしまう。チカと一緒にいる時は佳奈自身が自らくることもあったが、一人で私の元にくるのは初めてだったからだ。

これは一体どういことだろうか。

そんなことを考えている間もなく、それ以上に私はそこで見せられた写真に目を疑った。
それは、私が昨日私が帰っている時の後ろ姿で、私と暖がそこに写っていた。

そんな、一体いつ、誰が…?
けれど思い当たるのはチカしか思い浮かばなかった。

だってチカは、私と同じ方向でそして佳奈とも特に仲のいい友達だ。

でも、チカがわざわざそんなことをするだろうか。
今までも自らの手を使って私に手を出すようなことはしてこなかった。

私は辺りを見回してチカを探す。けれどどこにも見つからない。

「おい、なにキョロキョロしてんの?」と佳奈にしかめっ面で言われてしまい私は何もできなくなってしまった。

「あんたさ、調子乗ってんの?暖くんが転校してきてから皆で話したの。抜け駆けとかはやめようねって」

まぁ、あんたと違ってチカだったら許されてたけどねと釘をさされる。

そんなの知らない、私は女子の輪にはいれていないしそんなことは初めて知った。
それに抜け駆けとはなんだ、別に暖は誰のものでもないしそれは暖が決めることだ。

けれどそんなことを私が言えるわけはなくて、喉がつっかえるように思った言葉が口から出せなかった。

精一杯振り絞った声は「別に…そんなつもりじゃない」とその一言だけだった。

けどその言葉は佳奈をもっと怒らせてしまったのか、顔がみるみるうちに真っ赤になっていく。

怖い…元々眉がつり上がっていてくっきりした瞳、前髪はセンター分けになっていてより目力が強く見える。佳奈はキツめの印象に見えてしまうのだ。

そんな印象の佳奈は怒ると余計にオーラが強くなって、つい圧倒される。

「チカの好きな人奪ったあげくあんた暖くんまで奪うのかよ!!とんだ男好き!いっつも女子には冷たいくせにすましてんじゃねーよ」

次々と罵倒の言葉を浴びせられ唖然としてしまう。

もちろん私が悪いところも沢山あった。
チカには辛い思いをさせてしまっただろうしチカには何を言われても仕方ないと思ってる。

でもここまで言わなくたっていいじゃないか。
それになんで佳奈にこんなに言われないといけないんだ。