暖の表情を見ているとつられて私も口角があがってしまう。

「なにニヤニヤしてんの」と軽く頭をぽんっと触られる。
そんな一つの行動でも私は胸が苦しくなる。

この気持ちは抑えないといけない。
これはなんなのか____。

でも私はこの気持ちが何かを理解しないように重たく、きつく、自分の心に蓋をしめるようにした。

約束は守る……か。
さっき彼の言った言葉を思い出す。

昔、似たようなことを言われた気がする。

「また…ず……から…約束！」

ぼんやりと思い出すがノイズがかかったような言葉は何のことだか思い出せない。頭が痛い。

何故だろうか。

この記憶を思い出したいはずなのに、私の心は思い出したくないと否定している。

ズキズキと先程よりも痛みが増して頭を抑える。
「…い！れい！大丈夫？」

暖の声が聞こえにくい。
心配そうな表情で覗き込んでいる暖を見ると申し訳ないなと居た堪れない気持ちになる。

「…っ大丈夫だから。すぐ治まるよ」

私は少しその場で息を整えて、安静にしていると頭の痛みは徐々に和らいでいった。

一体さっきのはなんだったんだろう。