私が暖を忘れてしまった理由。いや、忘れたかった理由。それは…暖の病気を知ってしまったからだった。
*
私は幼い頃に暖に一度出会っていた。
友達も、お母さんもいない私に優しくしてくれた男の子だった。綺麗な子だと思った。
彼は言っていた。
「僕の髪と目はね、気持ち悪いしおかしいみたい。だから友達もいないんだ」
そうやってへらへらと笑う彼は幼い私でも分かるほどに苦しそうで、自分を押し殺しているように見えた。
だから私は本心から「そんなことない」と伝えた。
君は、私に「優しいね」と言ってくれたから。
私の名前を認めてくれたから。そんな君が気持ち悪い訳がなくて、おかしいなんてこともなかった。
私たちは徐々に仲良くなっていった。
友達との遊び方が分からなかった私に暖が楽しさを教えてくれた。
二人で公園に行って、たくさんの話をして、たくさんの笑顔をくれた。
でも、そんな日々は長くは続かなかった。
私たちが小学六年生を迎えた頃だった。
暖に、家の都合で転校しなければならないことを伝えられた。
私はその時も泣きじゃくっていた。暖を困らせてしまっただろう。
「嫌だ、暖と離れたくないよ…」
「冷、大丈夫だよ。また、必ず大きくなったら会いに行くから!約束ね」
「…ほんと?」
「うん、絶対」
「分かった…約束だよ!絶対だからね!」
そうやって私たちは約束を交わした。
所詮は子供だ。その場だけの約束かもしれない。
でも私は子供ながらにその約束をずっと心に置きながら暖がいるから寂しくないと思えていた。
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私は幼い頃に暖に一度出会っていた。
友達も、お母さんもいない私に優しくしてくれた男の子だった。綺麗な子だと思った。
彼は言っていた。
「僕の髪と目はね、気持ち悪いしおかしいみたい。だから友達もいないんだ」
そうやってへらへらと笑う彼は幼い私でも分かるほどに苦しそうで、自分を押し殺しているように見えた。
だから私は本心から「そんなことない」と伝えた。
君は、私に「優しいね」と言ってくれたから。
私の名前を認めてくれたから。そんな君が気持ち悪い訳がなくて、おかしいなんてこともなかった。
私たちは徐々に仲良くなっていった。
友達との遊び方が分からなかった私に暖が楽しさを教えてくれた。
二人で公園に行って、たくさんの話をして、たくさんの笑顔をくれた。
でも、そんな日々は長くは続かなかった。
私たちが小学六年生を迎えた頃だった。
暖に、家の都合で転校しなければならないことを伝えられた。
私はその時も泣きじゃくっていた。暖を困らせてしまっただろう。
「嫌だ、暖と離れたくないよ…」
「冷、大丈夫だよ。また、必ず大きくなったら会いに行くから!約束ね」
「…ほんと?」
「うん、絶対」
「分かった…約束だよ!絶対だからね!」
そうやって私たちは約束を交わした。
所詮は子供だ。その場だけの約束かもしれない。
でも私は子供ながらにその約束をずっと心に置きながら暖がいるから寂しくないと思えていた。