そんな視線に暖は構うことなく「何か欲しいのある?」と私に優しく問いかける。
こんなことはもう暖にとってはいつものことなのかもしれない。

暖が大丈夫ならいいか、と思い私はどんな物があるのか色々と見ることにした。

イルカのぬいぐるみ、魚をモチーフにしたアクセ、お菓子などまさに水族館という感じだった。

その中でも私が一番気になったのは半透明のクラゲのキーホールダーだった。
光にかざすとキラキラと輝いていて、すごく綺麗だ。

「それ、綺麗だね」
「うん。他にも色々見てみる」

私はとりあえずチカとお父さんへのお土産としてお菓子を買っていくことにした。

暖に声をかけようとしたがじっくりと真剣に見ていたのでやめておいた。
お会計をすませてから「何買うか決めた?」と暖に聞くと「うん」と嬉しそうに微笑んでいる。

暖は何を選んだのだろうか。
きっと表情からして何かいいものが見つかったのだろう。

暖を待っていると、「おまたせ」と言って二つだけ袋を提げていて片方には"エイちご大福"が詰められていた。

何とも微妙なネーミングセンスをしているがいちご大福にエイの顔が描かれていて、かわいらしい。

「ふふっ…それかわいい、お土産?」

「うん、透和にあげようと思って」

桐生くんがこんなかわいらしいものを食べているところを想像するとつい笑みがこぼれてしまいそうだ。

もう片方は中身が見えないようになっているが家族に渡す用かなにかだろうか?

「そっちは?」
「んー、これは秘密」
やんちゃな笑顔を浮かべてそう言う暖に「ええ!気になる…」と返す。

その後はしばらく今日の話をたくさんした。