不安に思い暖を見ると目を見開いて拍子抜けしたような顔をしていた。けれどすぐにそれは柔らかく暖かい笑顔に変わる。

「はっ…ふふ、冷は優しいなあ。ごめんね急にこんな話しちゃって」

「そんなことないよ。私クラゲの最期がどんなか知らなかったし、今日知れてよかったと思ってる」

「ほんと?じゃあもう一つ、クラゲってこう見えてちゃんと睡眠時間とるんだって」

「え!そうなの、眠ったりとかしなさそうなのに…」

「不思議だよね」と笑う暖からは先程までの切なそうな表情はなくなっていた。

暖はたまにふと消えてしまいそうなそんな雰囲気があって、本当にいなくなってしまうのではないかと少しだけ怖くなる。

だから良かった、とほっとする。
暖が何を抱えているのか私には分からない。でも少しでも寄り添うことができたらいいなとそう思った。

クラゲエリアを出た後、私たちは他愛もない話をしながら残りの箇所をまわっていった。

「もうこんな時間だね」
暖の言葉で時間を見ると時計には[ 18時] と表示されていてびっくりする。

いつも暖と過ごす時間はあっという間だ。
そろそろ今日も終わってしまうのかと思っているとそんな私を見かねたのか暖が声をかけてくれた。

「じゃあさ、最後にここ行こうよ」
「…!うん、行きたい」

暖が指した場所はお土産やぬいぐるみなどが売っているお店だった。

お店にはいると観光客らしき人たちがちらほらと見える。
水族館の中はある程度暗かったため大丈夫だったけれど、明るいところにでるとやっぱり暖は目立つなと思った。

私たち、というよりか暖を女の子たちがチラチラと見ているのがわかる。

確かに瞳や髪色も自分たちと違ってそれに加えてイケメンとなれば見てしまうのも分かるけれど。
それにしても見すぎなのでは?と思ってしまう。