「…なんか、暖と桐生くんって真反対のイメージあったから意外だったんだよね」

言った後にすぐ失礼なことを言ったかもと後悔する。けれど暖は「たしかにそうかもね」と笑ってくれた。

「透和はなんていうかさ、真っ直ぐな人で素で話せるんだ」

暖の言うことが少し分かる気がした。

まだ一回しか話したことのない私が言うのはおかしいけれど、彼は嘘をついたり気取ったりするような人には見えなかった。

あの時は私と同じように感情表現が苦手な人かと思っていたけれど逆なのかもしれない。

感情を表にだしているからこそ冷たいように見える。
でもそこには裏表を感じさせない安心感や優しさが含まれている。

だから私も初対面なのにも関わらず、他の人よりも話しやすかったのかも。

そんなことを考えているとふと疑問が浮かんだ。
「暖が転校する前ってことは…桐生くんも一緒に転校してきたってこと?」

「…あー、うーん…」
暖が目を逸らしてばつの悪そうな顔色をしている。
もしかして聞いてほしくないことだっただろうか。

「あ!あの言いにくいことだったら全然大丈夫だよ」

「ごめん冷、気使わせちゃったね…ざっくり言えば僕のためにわざわざ透和がきたんだ」

と言う彼は眉をさげてなんだか申し訳なさそうな顔をしている。

「そうなんだ。桐生くんと仲良いんだね」

これ以上深く聞くのは暖を困らせてしまうと思いやめておく。でも暖のためにここまで転校してくるなんてよっぽど仲がいいんだなぁと思う。