そう思いながらちらりと暖を見ると気のせいだと思うが、ほんのり耳が赤く染まっているように見えた。

「ほんと?冷にそう言ってもらえると嬉しいよ」

はにかむようにそう言う暖はいつもより声のトーンがほんの少し高いような気がして。喜んでくれている様子を見ると、言ってよかったと思った。

ふわふわとした甘い幸せと、心地良さを感じながら私は暖と共に水族館へと向かった。

「チケット二名様ですね。こちらからお入りください」

「ありがとうございます」
ニコニコと返事をする暖に水族館のお姉さんも見惚れてしまっているのが分かる。

水族館の中は思っていたよりも豪華で綺麗だった。

入り口からすでに水槽がトンネルのようになっていて上を見上げるとたくさんの魚たちが泳いでいる。

「わぁー、綺麗…」
思わず声をあげてしまいはっとして暖の方を見る。

「ほんとだね、綺麗」
「…なんで私の方見ながら?」

「冷がかわいくてつい見惚れちゃった、ごめんね」
と軽く笑って返されてしまう。

「もう、ふざけてるでしょ」と言うとそんなことないって、と暖が困ったように眉を下げている。

そんなやり取りをしていると笑いがこみあげてきた。

「ふっ…っはは、何やってんの私たち」

私が笑うと、暖もそれにつられるかのようにお互いに笑ってしまう。

その後私たちは、一通りそのトンネルを楽しんだあと次のエリアへと向かった。

「わーエイだよ!暖!あの独特な顔好きなんだよね」
「ふはっ…、ほんとだ。なんか笑ってるみたい」

暖が子供のようにくすくすとおかしそうに笑っているのを見るとなんだか私まで嬉しくなった。