「子供らしさ…か。それってさ私あんまり泣いたりとかしてなかったの?」

夢の中での出来事を思い出す。

私はあの時、泣きじゃくってまさに子供のようだった。実際子供なのだけれど。

「そう…だな。あんまり泣いてはいなかったな」

「そっか。私が昔何か忘れたりしてることってないかな?お父さん覚えてる?」

我ながら唐突な質問だと思うが仕方ない。
夢で見たから、などと言ったら風邪でもひいてるのかと言われそうだ。

「忘れてること?小さい頃なんだし冷も色々忘れてるんじゃないのか、俺もそこまでは分からないなぁ」

そう言うお父さんの顔は一瞬驚いていたような気がした。きっと私が急に変なことを言い出したから驚いただけだろう。

「わかった、ありがとお父さん。じゃあ明日出かけるからよろしくね」

そう言って私はそそくさと部屋に戻ることにした。
あの様子だとお父さんは何も知らなそうだ。

やっぱりあの夢もただの夢で現実とは関係のないことなのだろうか?

頭を悩ませていたそんな時、暖から連絡がきた。
なんだろう…と思い見てみるとそこには思いもよらないメッセージが届いていた。

[ やっぱり明日冷の家まで迎えにいってもいい?]

「…え!?」
思わず大きな声がでてしまう。

[ 急にどうしたの?そんな申し訳ないよ ]
[ 僕が早く冷に会いたいだけだよ ]

そんな暖の返事にスマホ越しなのにも関わらず、顔が茹でダコのようになっているのが自分でも分かる。

なんと返事を返せばいいのか分からず悩みすぎた結果、結局[ ありがとう。一応家の住所おくっとくね ]
としか伝えられなかった。

その日は明日のことを考えてしまいなかなか寝付けなかった。