チカに色々と教えてもらってから、私は初めて化粧品を買いに行くことにした。

チカに「一緒に行く?」と言われたがこれ以上は申し訳なかったので大丈夫と伝えて一人でお店に向かった。

自分で書いたメモを見ながら、これかな…?と手探りで一つずつ探し、私はようやく買い物を終えることができた。

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[ 水族館いつにする?]
準備もばっちりと整え、私は暖に予定を聞いた。
この文面を見るだけで暖と本当に水族館に行くんだ、と今更緊張してきてしまう。

[ 冷が大丈夫なら明後日の日曜とかはどうかな? ]
[ その日なら大丈夫だよ]
[ じゃあ日曜の12時頃にしよっか]
[ わかった ]

我ながら自分の返しがシンプルすぎてかわいくないなとため息をつきたくなる。
暖は文面からしても、優しさが滲み出ていてモテるんだろうな。

今までも彼女がいたりしたのだろうか。こんなに優しくて、顔立ちも整っているのだ。

他の人と付き合ってデートに行ったり、そんな暖を思い浮かべると無性に虚しくなる。

勝手に考えて落ち込むなんて最悪だ。
私はこんな事を考えるのはやめて他のことに集中することにした。

「そういえば…」
ふと私の頭に浮かんだのは夢のことだった。

呑気に暖と出かけようとしているけれど私はまだ夢の中でのこと、そして暖のこともまだ何も知らない。

桐生くんなら暖のことを何か知っているかもと思っていたけど、私は桐生くんのことすら何も知らないし会う機会がないのだ。

うーん、と頭を悩ませているとあることを思いつく。
暖に桐生くんのことを聞いてみるのはどうだろうか。

二人は仲が良さそうだったしもしかすると昔からの知り合いだったりするのかもしれない。

そうしたら、暖のことをきっと少しは知れるかな。