私は少し恥じらいながらも「この服にしようかな…」と言った。

「いいじゃん!やっぱ私の目は侮れないなぁ」

チカはそう言って冗談かのようにふざけているけれど本当にそうだと思う。

私に似合う色や、トップスとボトムスの合わせ方、私だったらこんなに上手くはできない。

やっぱりチカはすごい。

これはチカが言うように"あの人"のおかげなのかもしれない。
でもそれ以上に私は、きっとこれはチカが努力した結果なのだと思う。

人の為に自分を磨き続けられること。
努力を怠らないこと。

それは簡単そうに見えて全然簡単なことではなくて。

どれだけ頑張っても目標に追いつかなかったり、思い通りにいかない中でもそれでも全力で頑張ってきたからこそ、今のチカがいるんだと思う。

本人にこんなことを伝えてもきっとチカは否定するだろう。そんなことない、って。

いつかチカが自分の努力を信じて、認めてあげて、大切にできるようになれる日がくることを私は願う。

そんなことを考えていればチカの忙しない声が聞こえてきた。

「冷ー!次はこっちだよ早く早く!」

「はいはい、わかったから。今いくよ」


次に私たちが向かったのはアクセサリーや髪留めが
売られているコーナーだった。

チカが言うには、私は髪が長いからアレンジがしやすいのだそうだ。

「あんまりゴテゴテするのは良くないから髪は巻かずにそのままね!ハーフアップにして清楚らしさを加えて…」

チカの言葉に頭がパンクしそうになるがなんとか詰め込む。

「ハーフアップにするなら髪留めとか買った方がいいのかな?」

そういう私に「そうだね!」と返してさっそくチカが髪留めを探し始めた。