更科(さらしな)希子(きこ)は、高校生のときから嘘つきなことと彼氏の入れ替わりが早いことで有名だった。

 人付き合いが下手なくせに、人の気を惹くためなら簡単に嘘がつけてしまう。そんな希子は、女子からの評判が悪かった。

 けれど、美人で庇護欲を掻き立てられるような儚さを持ち合わせていた希子は、男子からの人気は高かった。

 ただ立っているだけで男にモテまくっていた希子は、彼氏の入れ替わりが異常に早く、一週間以上同じ男を隣に連れていたことがない。希子の彼氏の入れ替わりが早いのは、彼女がふとした出来心ですぐに浮気してしまうからだというもっぱらの噂だった。

 だけど、そんなふうに希子に惹きつけられたり切り捨てたりする男は、スクールカースト上位にいるようなやつらばかりで。カーストの真ん中あたりで呑気に学校生活を送っていたおれが、更科 希子と関わり合うことなんてなかった。

 高二の冬。放課後の教室で、開け放した窓の向こうに足を投げ出して座っていた希子と約束を交わしたあのときまでは。