食べ終わってもラルフはまだお腹が空いているのか物足りなさそうな顔をしていた。
「ラルフ足りなかった?」
「うん……あっ、でもご馳走にしてもらってるのに」
「ちょっと待ってね」
ガレインは近くにいる給仕に声をかけるとパンとバターを持ってきた。
貴族街で食べられている物だからか平民達が食べているパンより白くできている。
「はい、どうぞ。ただのパンでごめんね」
前世の高級食パンが丸ごと一本出てきた感じに近い。
ラルフはパンを受け取ると美味しそうに食べていた。正直お腹いっぱいの俺でも食べたいほどだ。
いつも食べている黒パンは硬いため事前に切っていないと食べれない。
「ラルフ一口ちょうだい!」
「これオラの――」
丸ごと齧っていたラルフのパンを俺は横から齧った。
思っていた通りバターがたくさん使われている王室限定のパンなんだろう。
ラルフは俺に取られたのが嫌だったのかパンを抱きしめてどこかへ行ってしまった。
「そんなに欲しいならお土産に――」
「いやいや、それは大丈夫だよ。こうやってみんなで食べれるからいいってことだよ」
「ケント……」
正直このパン一本にいくらお金が掛かっているのか考えるだけで恐ろしい。
ふとテーブルに目を向けるそこにはパンに塗るためのバターとバターナイフが置いてあった。
「やっぱりケントと友――」
「ちょっといいか?」
「……」
ガレインに声をかけるとなぜか真顔でこっちを見ていた。
何かあったのだろうか。ただ俺は気になることをそのまま話し続けた。
「バターナイフって言うぐらいだから刃物にならないか?」
バターナイフと言っても刃はなく、切るというよりも削るように出来た物だ。
ガレインも言われるままバターナイフをナフキンで拭き触って確かめていた。
「それでどうすればいいの?」
咄嗟に聞かれても俺にはスキルの使い方は分からない。
俺達のスキルは比較的何をするかわかりやすいスキルだが、医師は範囲が広いためイメージしづらいのだ。
「とりあえず治したいと意識してみるのはどうかな?」
やはり言われた通りイメージするがスキルは反応しなかった。
「まぁ刃物じゃないんだろうね?」
「そうだよね」
ガレインは期待していたのか何も発動しないことに落ち込んでいた。
「そういえばガレインは謁見の時になんで俺達を呼んだんだ?」
パンを食べ終わったラルフは戻ってきた。ナイスタイミングだ。
確かにパーティーであればマルクスとリモンだけで問題ないのだ。
「単純に仲良くなりたかったんだ。やっぱ貴族の中では私のことは知られているけど、冒険者なら友達になれるかと思ってね」
親が冒険者だったからなのか、特に平民関係なく、身分を気にしない子供と接してみたかったのだろう。
その後も特に身分を気にせず、外れスキル同士だったからこそここまで仲良くなれた。
「あの時のケントの姿を見たら私も人を助けれるようになりたい。そう思った時にはケントが気になってたんだ」
「ガレイン! 手元見て見て!」
そんな話をしているとバターナイフを持った手はわずかに光り、バターナイフに伝わっていた。
「えっ……」
それを見たラルフは何を思ったのか自身の犬歯で指先を噛み切った。
「おい、ラルフ!?」
突然の行動に驚いたが、当の本人はあっけらかんとしていた。
「どうしたの?」
「どうしたも何も急に噛んで血が出てるではないか?」
ガレインはそんなラルフを見てあたふたしている。
俺がスキルを発動させようとしたらラルフは止めた。
「だってガレインが治してくれるでしょ?」
ラルフはガレインが治してくれることを当たり前に思っていた。全くガレインを疑うこともなく……。
そんなラルフの行動にガレインは嬉しく思ったのか少し笑っていた。
「でも……やっぱ痛いよ」
そんなラルフだがやはり痛みには弱かった。
「ははは、さすがラルフだね。ガレインそのまま傷口に押し当ててみたら?」
「じゃあ、ラルフいくよ」
ガレインはラルフの指にバターナイフを押し当てたると少しずつ光りが強くなった。
「ラルフ足りなかった?」
「うん……あっ、でもご馳走にしてもらってるのに」
「ちょっと待ってね」
ガレインは近くにいる給仕に声をかけるとパンとバターを持ってきた。
貴族街で食べられている物だからか平民達が食べているパンより白くできている。
「はい、どうぞ。ただのパンでごめんね」
前世の高級食パンが丸ごと一本出てきた感じに近い。
ラルフはパンを受け取ると美味しそうに食べていた。正直お腹いっぱいの俺でも食べたいほどだ。
いつも食べている黒パンは硬いため事前に切っていないと食べれない。
「ラルフ一口ちょうだい!」
「これオラの――」
丸ごと齧っていたラルフのパンを俺は横から齧った。
思っていた通りバターがたくさん使われている王室限定のパンなんだろう。
ラルフは俺に取られたのが嫌だったのかパンを抱きしめてどこかへ行ってしまった。
「そんなに欲しいならお土産に――」
「いやいや、それは大丈夫だよ。こうやってみんなで食べれるからいいってことだよ」
「ケント……」
正直このパン一本にいくらお金が掛かっているのか考えるだけで恐ろしい。
ふとテーブルに目を向けるそこにはパンに塗るためのバターとバターナイフが置いてあった。
「やっぱりケントと友――」
「ちょっといいか?」
「……」
ガレインに声をかけるとなぜか真顔でこっちを見ていた。
何かあったのだろうか。ただ俺は気になることをそのまま話し続けた。
「バターナイフって言うぐらいだから刃物にならないか?」
バターナイフと言っても刃はなく、切るというよりも削るように出来た物だ。
ガレインも言われるままバターナイフをナフキンで拭き触って確かめていた。
「それでどうすればいいの?」
咄嗟に聞かれても俺にはスキルの使い方は分からない。
俺達のスキルは比較的何をするかわかりやすいスキルだが、医師は範囲が広いためイメージしづらいのだ。
「とりあえず治したいと意識してみるのはどうかな?」
やはり言われた通りイメージするがスキルは反応しなかった。
「まぁ刃物じゃないんだろうね?」
「そうだよね」
ガレインは期待していたのか何も発動しないことに落ち込んでいた。
「そういえばガレインは謁見の時になんで俺達を呼んだんだ?」
パンを食べ終わったラルフは戻ってきた。ナイスタイミングだ。
確かにパーティーであればマルクスとリモンだけで問題ないのだ。
「単純に仲良くなりたかったんだ。やっぱ貴族の中では私のことは知られているけど、冒険者なら友達になれるかと思ってね」
親が冒険者だったからなのか、特に平民関係なく、身分を気にしない子供と接してみたかったのだろう。
その後も特に身分を気にせず、外れスキル同士だったからこそここまで仲良くなれた。
「あの時のケントの姿を見たら私も人を助けれるようになりたい。そう思った時にはケントが気になってたんだ」
「ガレイン! 手元見て見て!」
そんな話をしているとバターナイフを持った手はわずかに光り、バターナイフに伝わっていた。
「えっ……」
それを見たラルフは何を思ったのか自身の犬歯で指先を噛み切った。
「おい、ラルフ!?」
突然の行動に驚いたが、当の本人はあっけらかんとしていた。
「どうしたの?」
「どうしたも何も急に噛んで血が出てるではないか?」
ガレインはそんなラルフを見てあたふたしている。
俺がスキルを発動させようとしたらラルフは止めた。
「だってガレインが治してくれるでしょ?」
ラルフはガレインが治してくれることを当たり前に思っていた。全くガレインを疑うこともなく……。
そんなラルフの行動にガレインは嬉しく思ったのか少し笑っていた。
「でも……やっぱ痛いよ」
そんなラルフだがやはり痛みには弱かった。
「ははは、さすがラルフだね。ガレインそのまま傷口に押し当ててみたら?」
「じゃあ、ラルフいくよ」
ガレインはラルフの指にバターナイフを押し当てたると少しずつ光りが強くなった。