冒険者ギルドに着くとあまりの大きさに驚いた。

 訓練場や解体屋なども含めエッセン町は体育館数個分、トライン街は学校一つ分、王都はドームや球場ぐらいの大きさになっている。

「デカっ!?」

「俺も初めて来た時はよく迷子になっていたからな。じゃあ、行くぞ!」

 冒険者ギルドに入るとトライン街とは違い、特に冷たい視線もなく各々話してたりギルド職員がバタバタと働いていた。

「俺は受付に行ってくるから、お前達はどうする?」

「んー、依頼掲示板見に行ってきますね」

 マルクスは受付に向かい残された俺達は依頼掲示板を見に行くことにした。

 掲示板を見ていると知った人物に声をかけられた。

「おお、ケントおはよう!」

「リモンさんおはようございます」

「ケントくん私の――」

「はいはい、リチアは黙ろうか」

 リチアはカルロに口を塞がれていた。早速生活チートが恋しくなってきてるのだろうか。

 彼女はかなりのお風呂好きだったからな……。

「そういえばカレンさんは……?」

 声を掛けてきたのは三人だった。だが聞いた瞬間にハッと朝のことが頭をよぎった。

「うちのマルクスがすみません」

「いやいや、それは個人の勝手だからな。ただAランク冒険者は夜も凄まじいってことだろう」

 リモンもカルロも笑っていた。冒険者相手だとよくあることらしい。だから冒険者ギルドの受付嬢は冒険者と付き合わないのか……。
 
 そんなときにマルクスは戻ってきていた。

「おっ、ちょうど良かった。ん? なんだ?」

 マルクスはみんなからの妙な温かい視線が気になっていた。

「ああ、いや何もないですよ。ところでどうしました?」

「ギルドマスターが俺達とお前達のパーティーリーダーを呼んでるぞ」

「わかった。ちょっと行ってくるからカルロとリチアは待っててくれ」

 パーティーリーダーであるリモンと俺達はギルドマスターに呼ばれ受付に行くと、そのまま奥の部屋に案内された。


――トントン!


「Bランク冒険者マルクスのパーティーと破滅のトラッセンのリーダーリモンをお連れしました」

「入れ!」

 受付嬢は扉をノックするとすぐに中から幼い声が返ってきた。

 ちなみにリモン達のパーティー名は“破滅のトラッセン"という名だった。

トラッセン街で幼馴染だった四人がそのまま冒険者になりパーティー名に街の名前を入れたらしい。

 何故破滅を入れたのかはわからないが、やはりそこは脳筋だから格好良さだけで何も考えてないのだろう。

 聞いた瞬間に厨二病感が漂ってきて俺はつい吹き出してしまった。

 扉を開けた先には大きな机で書類作業をしている幼女がいた。

「幼――」

 ラルフはそのまま口にする前にマルクスが口を塞いだ。

「ほぉ、何か聞こえたが空耳かのー」

 幼女からの威圧は凄まじいほどだ。伊達に王都のギルドマスターをやっているわけじゃなかった。

 小さいから放たれる圧はマリリンよりも強かった。印象はマリリンの方が強かったけどな……。

「まずは自己紹介だね。王都のギルドマスターでSランク冒険者のカタリーナだ」

 王都のギルドマスターは現役のSランク冒険者だった。