――ピィー! ピィー!
「ああ、まだ寝かせろよ……。仕事に行きたく……仕事!?」
俺はいつのまにか洞窟の中で寝ていた。幸い鳥の鳴き声をアラームの設定にしていたため、魔物に襲われることもなく優雅に起きることができた。
「ああ、死んだから仕事しなくてもいいのか。まぁ、働かないと金がないしとりあえず町に向かうか!」
憂鬱な気持ちを払拭して町に向かうことにした……。
「そういえば奴隷商があった町しか知らないわ」
ケトは五歳の時に近隣の町に輸送され、そこで五年間過ごしたが鉱山と町の知識はあった。そこを往復していただけで森の知識はなかった。
だから現状どこにいるのか俺は把握していなかった。
「とりあえず、歩きながら考えるか」
そのまま洞窟にいても餓死で死んだケトの体ではすぐに俺も死んでしまうだろう。
まずは川の流れに沿って俺は歩くことにした。川の流れに沿って歩けばとりあえず元の場所に戻れるという安易な考えだった。
♢
「どこまで川が続くんだよ」
しかし、現状は歩いても歩いても辺りの風景は変わらなかった。
「少し休憩でもしようか」
元の居た滝から二時間程度は歩いた俺は疲労が溜まり川原で休憩することにした。
「はぁー、お腹減った。それにしても十歳でこの細さなら栄養足りてないよな」
クロスが死ぬまではある程度を食事を分けてもらっていたが、クロスが居なくなってからはパン1つだったため俺の体は痩せ細っていた。
「この辺は葉が茂ってるけど食べ物もないしなんか疲れたな……」
次第に俺は疲労感と空腹にそのまま川原で寝てしまった。十歳の体は昼寝が大好きだからな。
♢
「おーい! おーい!」
「なんだよ!」
「おーい!」
俺はずっと何者かに起こされていた。しかし、目覚めが悪い俺は中々起きなかった。
「中々起きないやつだな……。こいつ邪魔なんだが……」
「もう、うるさいな……。うわぁ!?」
俺は声がする方に目を向けると何かがいた。何度も何度も瞬きをするがその存在は幻ではなかった。
「うぉ!?」
「なななな!!」
「小僧うるさ――」
「本当に小さいおっさんがいる!?」
俺の目の前には体長30cm程度のおっさん?に見える存在が立っていた。
「誰がおっさんじゃ! 妖精じゃい!!」
「妖精? なわけないでしょー。可愛くもないおっさんが妖精なんて――」
俺の目の前にいる小さいおっさんはどこか落ち込んでしまった。
「ああ、そうですか。小僧がその気なら果物も木ノ実も――」
「大変申し訳ありませんでした。大妖精様!」
俺は勢いよく立ち上がり、それは見事なほどのジャンピング土下座をしていた。
「小僧……現金じゃ!」
「ははあー! 恐れ入ります、大妖精様。今日も素晴らしいオーラで目が開けれないです」
どこか抉らせてそうなおっさんを俺は薄目で見ていた。
「……」
「端正な顔立ちで今世紀最大の短い手足を初めてお見受けしましたが頭が上がりません」
俺は短い社会生活の中で学んだ、ゴマスリを発揮させたがやはり短い経験では臨機応変に対応は出来なかった。
「おいおい、途中悪口――」
「滅相もありません!」
何か悪いことがあったら相手の会話に被せる。これも社会人になってから学んだことだ。
「私ケントがそのようなこと言うはずないじゃないですか!!」
「……。まぁ、今日のところは見逃しておこう」
「有難きお言葉です」
俺は小さなおっさんにぺこぺこと頭を下げていた。知らない人が見たらどこかシュールな様子だろう。
「さて、お主ケントと言ったか? 早くこの森から出て行くんじゃ!」
「えっ?」
「お主みたいな小僧がこんなところにいたら魔素にやられてしまうぞ」
「魔素?」
俺はケトの知識を借り『魔素』という言葉を探してみるが、あまり知識がないケトでは分からなかった。
「魔素も分からんのか……。魔素というのはな――」
小さいおっさんはなんやかんやで俺の心配をしていた。
小さいおっさんが言うには、魔素はこの世界に漂っている魔力の素のことを言い、自然に体に吸収をしている物質のことらしい。
その魔素を吸収し、体内に留めることで魔力に変換され魔法として発現される。
魔素の器である体は成長期に変化が起き、生まれつきの才能とその後の環境によって左右されるらしい。
「ということは成長期のときに魔素をたくさん吸収することで強い魔法が使えるようになるってこと?」
「そうじゃ! ただ、その分体への負荷も強いし激痛だから一般的に無理なことはせんぞ。だから魔素が強いこの森から早く出ていくんだ。あっちに町があるからな!」
小さいおっさんは町がある方を指差していた。なんやかんやで小さいおっさんは優しかった。
「魔素が強い森に居たら魔力が強くなるってことは慈愛の心は魔力量によって効果が左右されるから魔力を上げておいて損はないんだよな」
俺は昨日見たスキルの一文を思い出していた。
「小僧聞いておるんか!!!」
「うぇ!?」
「うぇ!? ってなんじゃ! せっかく小僧のために説明してやってるというのに」
「すみません、実は俺は奴隷でして」
俺はケトが経験したスキルをもらった後の5年間を小さいおっさんに話した。
――十分後
「うっ、うげ……。小僧そんなに小さい時から苦労していたんだな」
小さいおっさんは鼻水を撒き散らしながら涙を流していた。
「きたな――」
「よし、わしが面倒を見てやろう!」」
「えっ?」
「小僧が大きくなるまでわしが面倒を見てやる」
「えーっと、それはご遠慮――」
「よし、決定だな!!」
小さいおっさんは聞く耳を持たず俺は森での生活を余儀されなくなった。やはり小さいおっさんはどこか抉らせていた。
「ああ、まだ寝かせろよ……。仕事に行きたく……仕事!?」
俺はいつのまにか洞窟の中で寝ていた。幸い鳥の鳴き声をアラームの設定にしていたため、魔物に襲われることもなく優雅に起きることができた。
「ああ、死んだから仕事しなくてもいいのか。まぁ、働かないと金がないしとりあえず町に向かうか!」
憂鬱な気持ちを払拭して町に向かうことにした……。
「そういえば奴隷商があった町しか知らないわ」
ケトは五歳の時に近隣の町に輸送され、そこで五年間過ごしたが鉱山と町の知識はあった。そこを往復していただけで森の知識はなかった。
だから現状どこにいるのか俺は把握していなかった。
「とりあえず、歩きながら考えるか」
そのまま洞窟にいても餓死で死んだケトの体ではすぐに俺も死んでしまうだろう。
まずは川の流れに沿って俺は歩くことにした。川の流れに沿って歩けばとりあえず元の場所に戻れるという安易な考えだった。
♢
「どこまで川が続くんだよ」
しかし、現状は歩いても歩いても辺りの風景は変わらなかった。
「少し休憩でもしようか」
元の居た滝から二時間程度は歩いた俺は疲労が溜まり川原で休憩することにした。
「はぁー、お腹減った。それにしても十歳でこの細さなら栄養足りてないよな」
クロスが死ぬまではある程度を食事を分けてもらっていたが、クロスが居なくなってからはパン1つだったため俺の体は痩せ細っていた。
「この辺は葉が茂ってるけど食べ物もないしなんか疲れたな……」
次第に俺は疲労感と空腹にそのまま川原で寝てしまった。十歳の体は昼寝が大好きだからな。
♢
「おーい! おーい!」
「なんだよ!」
「おーい!」
俺はずっと何者かに起こされていた。しかし、目覚めが悪い俺は中々起きなかった。
「中々起きないやつだな……。こいつ邪魔なんだが……」
「もう、うるさいな……。うわぁ!?」
俺は声がする方に目を向けると何かがいた。何度も何度も瞬きをするがその存在は幻ではなかった。
「うぉ!?」
「なななな!!」
「小僧うるさ――」
「本当に小さいおっさんがいる!?」
俺の目の前には体長30cm程度のおっさん?に見える存在が立っていた。
「誰がおっさんじゃ! 妖精じゃい!!」
「妖精? なわけないでしょー。可愛くもないおっさんが妖精なんて――」
俺の目の前にいる小さいおっさんはどこか落ち込んでしまった。
「ああ、そうですか。小僧がその気なら果物も木ノ実も――」
「大変申し訳ありませんでした。大妖精様!」
俺は勢いよく立ち上がり、それは見事なほどのジャンピング土下座をしていた。
「小僧……現金じゃ!」
「ははあー! 恐れ入ります、大妖精様。今日も素晴らしいオーラで目が開けれないです」
どこか抉らせてそうなおっさんを俺は薄目で見ていた。
「……」
「端正な顔立ちで今世紀最大の短い手足を初めてお見受けしましたが頭が上がりません」
俺は短い社会生活の中で学んだ、ゴマスリを発揮させたがやはり短い経験では臨機応変に対応は出来なかった。
「おいおい、途中悪口――」
「滅相もありません!」
何か悪いことがあったら相手の会話に被せる。これも社会人になってから学んだことだ。
「私ケントがそのようなこと言うはずないじゃないですか!!」
「……。まぁ、今日のところは見逃しておこう」
「有難きお言葉です」
俺は小さなおっさんにぺこぺこと頭を下げていた。知らない人が見たらどこかシュールな様子だろう。
「さて、お主ケントと言ったか? 早くこの森から出て行くんじゃ!」
「えっ?」
「お主みたいな小僧がこんなところにいたら魔素にやられてしまうぞ」
「魔素?」
俺はケトの知識を借り『魔素』という言葉を探してみるが、あまり知識がないケトでは分からなかった。
「魔素も分からんのか……。魔素というのはな――」
小さいおっさんはなんやかんやで俺の心配をしていた。
小さいおっさんが言うには、魔素はこの世界に漂っている魔力の素のことを言い、自然に体に吸収をしている物質のことらしい。
その魔素を吸収し、体内に留めることで魔力に変換され魔法として発現される。
魔素の器である体は成長期に変化が起き、生まれつきの才能とその後の環境によって左右されるらしい。
「ということは成長期のときに魔素をたくさん吸収することで強い魔法が使えるようになるってこと?」
「そうじゃ! ただ、その分体への負荷も強いし激痛だから一般的に無理なことはせんぞ。だから魔素が強いこの森から早く出ていくんだ。あっちに町があるからな!」
小さいおっさんは町がある方を指差していた。なんやかんやで小さいおっさんは優しかった。
「魔素が強い森に居たら魔力が強くなるってことは慈愛の心は魔力量によって効果が左右されるから魔力を上げておいて損はないんだよな」
俺は昨日見たスキルの一文を思い出していた。
「小僧聞いておるんか!!!」
「うぇ!?」
「うぇ!? ってなんじゃ! せっかく小僧のために説明してやってるというのに」
「すみません、実は俺は奴隷でして」
俺はケトが経験したスキルをもらった後の5年間を小さいおっさんに話した。
――十分後
「うっ、うげ……。小僧そんなに小さい時から苦労していたんだな」
小さいおっさんは鼻水を撒き散らしながら涙を流していた。
「きたな――」
「よし、わしが面倒を見てやろう!」」
「えっ?」
「小僧が大きくなるまでわしが面倒を見てやる」
「えーっと、それはご遠慮――」
「よし、決定だな!!」
小さいおっさんは聞く耳を持たず俺は森での生活を余儀されなくなった。やはり小さいおっさんはどこか抉らせていた。