――五年後
奴隷商に売られた俺は十歳になっていた。
外れスキルと呼ばれていた俺は奴隷としても買ってもらえず、最終的には売れ残りとして犯罪奴隷と同様の扱いをされていた。
一般的に奴隷は普通奴隷と犯罪奴隷として分けられるが奴隷も維持するのにお金がかかってしまう。
そのため普通奴隷は売れるまでの期間は何かしら働いてもらうことが多い。
そう、普通奴隷の俺も働くためのスキルが必要だった。
【理学療法】という使用方法がわからないスキルを得た俺は働こうとしても他の人と比べて力が使えなかった。
はじめは奴隷商人も我慢していたが、使えないと分かると扱いは徐々に酷くなり犯罪奴隷と同様の扱いになっていた。
犯罪奴隷は使い捨てという認識が強いため、鉱山などの力仕事を任されることが多い。
俺以外に年齢が若い子もおらず、基本的には成人してケトよりも大きく、体力がある人ばかりだった。
子どもの俺は鉱山の仕事の中でも使えないやつとして邪魔な扱いをされていた。
その日もいつも通りに鉱山で働いて、休憩の時間に食事をしていた。
だが俺は使えない扱いからか、子供のためかわからないが一日の食事はパン一つのみだった。
「お腹減った……」
「おい、俺の分もやるよ!」
「えっ、いいの?」
「ああ、俺はスキルである程度どうにかなるからな」
俺をいつも気遣って食事を分けてくれるおじさんがいた。
奴隷になった時に一緒に乗っていた男のクロスだった。
クロスは冒険者として働いていたが、冒険者をしていた貴族に罪をなすりつけられ、犯罪奴隷に落とされていた。
その時の仲間には誰も味方してもらえず、当時付き合っていた仲間の女性はその貴族と関係を持っていたらしい。
子どもの俺にはいまいちわからなかったが、簡単に人を信じてはいけないがクロスの口癖だった。
「おい、お前ら! 休憩は終わりだ! はやく自分の場所に戻れ!」
「クロスさんありがとう」
「おう、ケトも頑張れよ!」
クロスは俺の頭を撫でると自身の持ち場に戻って行った。
奴隷になってからクロスが自身の中で父親のように俺は思うようになっていた。
「やっぱクロスさんは冒険者だったから体の作りが違うのかな?」
撫でられた頭を触れどこか温かい気持ちになっていた。ゴツゴツして大きな手に撫でられるとどこか心が安心した。
俺自身も持ち場に戻ろうと立ち上がると、後方から何かが倒れる音がした。
――バタン!
どこかで倒れる音がしたため俺は振り返るとそこにはクロスが倒れていた。
「クロスさん!?」
俺はクロスに近づき、彼の顔を見ると笑っていた。
「あはは、つまづいただけだから気にするな! 最近ふらふらすることがあってな」
「大丈夫ですか?」
「ああ! 最近自動回復の性能が落ちたのかな」
「無理しないでくださいよ」
「お前ら何やってる! はやく戻れ!」
監視役から声がかかり俺とクロスに鞭が振るわれた。
とっさにクロスが俺を庇うことでケトには鞭が当たらなかった。
「クロスさん……」
「ケトはやく戻れ! 俺は大丈夫だから!」
「わかった」
「はぁー、まだもってくれよな」
スキルで自動回復を持っていたクロスはある程度の疲労は回復出来ていた。
しかし、空腹までは回復できないのをその時の俺は知らなかった。
奴隷商に売られた俺は十歳になっていた。
外れスキルと呼ばれていた俺は奴隷としても買ってもらえず、最終的には売れ残りとして犯罪奴隷と同様の扱いをされていた。
一般的に奴隷は普通奴隷と犯罪奴隷として分けられるが奴隷も維持するのにお金がかかってしまう。
そのため普通奴隷は売れるまでの期間は何かしら働いてもらうことが多い。
そう、普通奴隷の俺も働くためのスキルが必要だった。
【理学療法】という使用方法がわからないスキルを得た俺は働こうとしても他の人と比べて力が使えなかった。
はじめは奴隷商人も我慢していたが、使えないと分かると扱いは徐々に酷くなり犯罪奴隷と同様の扱いになっていた。
犯罪奴隷は使い捨てという認識が強いため、鉱山などの力仕事を任されることが多い。
俺以外に年齢が若い子もおらず、基本的には成人してケトよりも大きく、体力がある人ばかりだった。
子どもの俺は鉱山の仕事の中でも使えないやつとして邪魔な扱いをされていた。
その日もいつも通りに鉱山で働いて、休憩の時間に食事をしていた。
だが俺は使えない扱いからか、子供のためかわからないが一日の食事はパン一つのみだった。
「お腹減った……」
「おい、俺の分もやるよ!」
「えっ、いいの?」
「ああ、俺はスキルである程度どうにかなるからな」
俺をいつも気遣って食事を分けてくれるおじさんがいた。
奴隷になった時に一緒に乗っていた男のクロスだった。
クロスは冒険者として働いていたが、冒険者をしていた貴族に罪をなすりつけられ、犯罪奴隷に落とされていた。
その時の仲間には誰も味方してもらえず、当時付き合っていた仲間の女性はその貴族と関係を持っていたらしい。
子どもの俺にはいまいちわからなかったが、簡単に人を信じてはいけないがクロスの口癖だった。
「おい、お前ら! 休憩は終わりだ! はやく自分の場所に戻れ!」
「クロスさんありがとう」
「おう、ケトも頑張れよ!」
クロスは俺の頭を撫でると自身の持ち場に戻って行った。
奴隷になってからクロスが自身の中で父親のように俺は思うようになっていた。
「やっぱクロスさんは冒険者だったから体の作りが違うのかな?」
撫でられた頭を触れどこか温かい気持ちになっていた。ゴツゴツして大きな手に撫でられるとどこか心が安心した。
俺自身も持ち場に戻ろうと立ち上がると、後方から何かが倒れる音がした。
――バタン!
どこかで倒れる音がしたため俺は振り返るとそこにはクロスが倒れていた。
「クロスさん!?」
俺はクロスに近づき、彼の顔を見ると笑っていた。
「あはは、つまづいただけだから気にするな! 最近ふらふらすることがあってな」
「大丈夫ですか?」
「ああ! 最近自動回復の性能が落ちたのかな」
「無理しないでくださいよ」
「お前ら何やってる! はやく戻れ!」
監視役から声がかかり俺とクロスに鞭が振るわれた。
とっさにクロスが俺を庇うことでケトには鞭が当たらなかった。
「クロスさん……」
「ケトはやく戻れ! 俺は大丈夫だから!」
「わかった」
「はぁー、まだもってくれよな」
スキルで自動回復を持っていたクロスはある程度の疲労は回復出来ていた。
しかし、空腹までは回復できないのをその時の俺は知らなかった。