マナ草の依頼失敗についてスターチスは悩んでいた。
「ちょっと待っててね!」
冒険者ギルド入口の逆側にある扉から出るとすぐにマルクスを連れてきた。
「なんか大変だったらしいな。それでどうしたんだ?」
「良かったらケントくんと一緒に森に行ってきてくれないかしら?」
「俺が? あんな遠いところまで歩けると思うか?」
スターチスには何か考えがあったのだろう。
「この間ケント君が言ってたことが気になってね。たくさん歩くのもリハビリってのにならないかしら?」
この間動かないことによる筋力低下の話を覚えているのだろう。
「依頼を五件は受けないとランクも下がるしな……。リハビリとして明日から一緒に行こうか」
「ありがとうございます」
安全や知識の面を考えるとマルクスが同行した方が安全になるだろう。
「それ私も付いていく」
「アリミアちゃん……森は魔物がいるから危ないんだよ? 昨日は襲われたよね?」
「それでもお兄ちゃんに付いていくもん」
アリスはその場で駄々を捏ねている。
「マルクスさん大丈夫かしら?」
「んー、奥に入って行かなければよっぽど大丈夫だろうけど俺は子どもは相手したことないぞ。ケントが面倒みれるか?」
マルクスは俺に採取の方法や魔物がいた時の対処法などを教えていた。
そんなマルクスまさか子どもの相手をしたことないという発言にスターチスは驚いている。
「僕で良ければ……」
その場の雰囲気を読んで俺はアリスの面倒を見ることになった。
♢
俺はアリミアと共にギルド内の飲食スペースで果実水を飲んでいると、ギルドマスターがロニーを連れてギルドに戻ってきた。
「あっ、ギルドマスター戻って来ましたよ」
「あら、サボってたわけではないようね」
「おいおい、俺はやる時はやるぞ」
「そう……。ということは普段はやっていないってことを認めるのかしら」
スターチスの表情が変わったため、ギルドマスターはスターチスに任せ、俺はロニーのところへ向かう。
「大まかな話は聞いたがケントはどうだ?」
「僕が意見言える立場じゃ――」
「何言ってんだ? ケントは俺達の息子だぞ?」
その言葉を聞いてどこかずっと空いた心の隙間に温かい何かで埋められた気がした。
気づくとアリミアはロニーに近づき服の裾を引っ張っていた。
「おじさん! 私もおじさんのとこの息子になる」
「ははは、これはやられたな。君は女の子だから娘だぞ?」
「じゃあ、娘になる」
「そうか! なら今日から娘だな」
「やったー!」
悩んでたのが嘘のようだ。アリミアはすぐにロニーの懐に入っていった。
その様子を見ていた俺は少し寂しい気持ちになった。きっと知らないうちにケトの意思に引っ張られているのだろう。
俺は知らないうちにケトの体と心に定着していたため、いつのまにか年相応の精神年齢となっていた。
「じゃあこの子は家で預かるからな!」
「ああ、ロニー助かったよ」
「可愛い子どもが二人も出来て俺たちは幸せだぞ」
ロニーは俺とアリミアの頭を撫でた。アリミアは嬉しくて口元が上がっていた。
「やっとロニーも吹っ切れてきたんだな」
「そうですね。それでギルドマスターはいつもどこをほっつき歩いて……?」
「いやいや、今日はちゃんと仕事を……」
「今日は?」
その日ギルドマスターの姿を見た人はギルド内に居なかった。
そして、誰も気づいて居なかった。アリミアが偽装の使い手だったことを……。
「ちょっと待っててね!」
冒険者ギルド入口の逆側にある扉から出るとすぐにマルクスを連れてきた。
「なんか大変だったらしいな。それでどうしたんだ?」
「良かったらケントくんと一緒に森に行ってきてくれないかしら?」
「俺が? あんな遠いところまで歩けると思うか?」
スターチスには何か考えがあったのだろう。
「この間ケント君が言ってたことが気になってね。たくさん歩くのもリハビリってのにならないかしら?」
この間動かないことによる筋力低下の話を覚えているのだろう。
「依頼を五件は受けないとランクも下がるしな……。リハビリとして明日から一緒に行こうか」
「ありがとうございます」
安全や知識の面を考えるとマルクスが同行した方が安全になるだろう。
「それ私も付いていく」
「アリミアちゃん……森は魔物がいるから危ないんだよ? 昨日は襲われたよね?」
「それでもお兄ちゃんに付いていくもん」
アリスはその場で駄々を捏ねている。
「マルクスさん大丈夫かしら?」
「んー、奥に入って行かなければよっぽど大丈夫だろうけど俺は子どもは相手したことないぞ。ケントが面倒みれるか?」
マルクスは俺に採取の方法や魔物がいた時の対処法などを教えていた。
そんなマルクスまさか子どもの相手をしたことないという発言にスターチスは驚いている。
「僕で良ければ……」
その場の雰囲気を読んで俺はアリスの面倒を見ることになった。
♢
俺はアリミアと共にギルド内の飲食スペースで果実水を飲んでいると、ギルドマスターがロニーを連れてギルドに戻ってきた。
「あっ、ギルドマスター戻って来ましたよ」
「あら、サボってたわけではないようね」
「おいおい、俺はやる時はやるぞ」
「そう……。ということは普段はやっていないってことを認めるのかしら」
スターチスの表情が変わったため、ギルドマスターはスターチスに任せ、俺はロニーのところへ向かう。
「大まかな話は聞いたがケントはどうだ?」
「僕が意見言える立場じゃ――」
「何言ってんだ? ケントは俺達の息子だぞ?」
その言葉を聞いてどこかずっと空いた心の隙間に温かい何かで埋められた気がした。
気づくとアリミアはロニーに近づき服の裾を引っ張っていた。
「おじさん! 私もおじさんのとこの息子になる」
「ははは、これはやられたな。君は女の子だから娘だぞ?」
「じゃあ、娘になる」
「そうか! なら今日から娘だな」
「やったー!」
悩んでたのが嘘のようだ。アリミアはすぐにロニーの懐に入っていった。
その様子を見ていた俺は少し寂しい気持ちになった。きっと知らないうちにケトの意思に引っ張られているのだろう。
俺は知らないうちにケトの体と心に定着していたため、いつのまにか年相応の精神年齢となっていた。
「じゃあこの子は家で預かるからな!」
「ああ、ロニー助かったよ」
「可愛い子どもが二人も出来て俺たちは幸せだぞ」
ロニーは俺とアリミアの頭を撫でた。アリミアは嬉しくて口元が上がっていた。
「やっとロニーも吹っ切れてきたんだな」
「そうですね。それでギルドマスターはいつもどこをほっつき歩いて……?」
「いやいや、今日はちゃんと仕事を……」
「今日は?」
その日ギルドマスターの姿を見た人はギルド内に居なかった。
そして、誰も気づいて居なかった。アリミアが偽装の使い手だったことを……。