俺は見習い冒険者のジョニーだ。いつかは有名な冒険者になるのが夢だ。

「これでリーフ草とマナ草が一束ずつになるから俺もやっと冒険者だ」

 冒険者姿を想像すると気持ちが高鳴っていた。だからこそ魔物が近づいてきたことに気づかなかった。

「シャー!」

「うわぁ!?」

 急な衝撃に俺は体を回転させ剣を引き抜き体制を整える。

「キラーマンティスかよ」

 そこには腕が刃になり高さ1.5m程度の体長はあるカマキリの魔物だ。

「シャー!」

 キラーマンティスは腕を大きくあげて、交互に切りつけた。

「こんなんじゃ俺は切れないぜ!」

 それを左右に体をかわし、キラーマンティスの腕が振り切れた瞬間に剣を振った。

「キシャー!」

「へへ、ほらかかって来いよ!」

「シャー!」

 それからキラーマンティスとの戦闘は続き、後少しで勝てると思われた時に事件は起こった。

 両腕を振りあげたキラーマンティスに対して俺は剣で受け止めた時だ。

「うっ、これでいけ――」

「キシャー!」

 剣で受け止めたと同時にキラーマンティスの叫び声が聞こえた。

「なんだこれ……」

 突然の痛みに俺の視界はチカチカと点滅し出した。痛む胸に手を触れると血が吹き出ている。

「ははは、子供も一緒にいったぜ!!」

「領主様流石に――」

「お前もごときが俺に指図をするな!」

 男は不平を伝えるとその場で領主に切りつけられていた。

「ははは。いい気味だぜ!」

「ふぅ……ふぅ……はやく帰らないと……」

 俺は父と母の顔を思い浮かべた。

「母ちゃん……父ちゃん……」

 意識が遠のいていく中で俺は必死に家に帰ろうと手を伸ばす。

「おお、こいつはしぶといな! こいつを倒せば俺は強くなれるぜ! ははは、俺のために死にな」

「まだ死にたくな――」

 痛みで麻痺していた俺にさらに剣が突き刺さる。

「はは、死ね死ね! これで俺はまたロザリオに好かれるぜ!」

「グッ!?」

 剣は一度体に入ると大きく上に抜き、また上から刺してを繰り返された。俺の体はいつの間にか真っ赤に染まった。

「ははは、俺の糧になってよかったな。おい、お前らこの坊主をちゃんと持ってけよ! 魔物の頭も一緒にな!」

 領主は自身の家臣にそう伝えるとエッセン町に馬を走らせた。