冒険者ギルドで意識を失うように眠りについた俺はロニーに抱き抱えられて自宅に帰った。

「ただいま」

「あら、あなた今日は夜勤じゃ……ケントくん!」

 やはりアニーもケントの姿を見て驚いていた。

 今日は夜勤だったが仕事仲間に伝えて早退することになった。ケントが血だらけになって帰ってきたから今日はゆっくり見てやれと同僚が勧めてくれた。

「大丈夫寝ているだけだ」

「すぐにお湯と着替えを持ってくるわ」

 ケントをベットに連れて行くとアニーがお湯と着替えを持ってきた。

 ケントの服を脱がすとアニーとともに体をタオルで拭いた。小さなこの体でたくさんの思いをしたのだろう。

 背中に刻まれた傷跡が幼いケントの壮大な人生を物語っていた。

 綺麗な服に着替えさせるとケントをベッドの上で寝かしつけた。相当疲れている中起きずに人形のように見えた。

「はぁー、疲れた」

「あなたお疲れ様」

 アニーは疲れた俺に温かい飲み物を用意していた。

「ああ、あの時を思い出したよ」

 俺達には忘れられない思い出がある。あの子と過ごした毎日はかけがえのない日々だった。

「私達が愛してやまないジョニー……。今生きてたら立派な冒険者になってたかしらね」

「きっとそうだな。ケントもジョニーみたいに帰って来ないって思うと――」

「やめて! ケントくんは大丈夫よ。私達の息子だもの……」

 アニーとの間にいた子供はちょうどケントと同じぐらいの年齢の子供がいた。

 泣き崩れるアニーにそっと肩を抱き寄せた。


――数年前


「母ちゃん行ってくるよー!」

「ジョニーちゃんと荷物を持ったの?」

「大丈夫! 行ってくるね」

 ジョニーは今日も冒険者ギルドに依頼を受けに行っていた。

 息子はスキル【剣士】を授かったため、夢だった冒険者の職に就くために小さい頃から冒険者ギルドに通っていた。

 ギルドマスターの話ではその日もいつも通りに薬草の採取に受けていたらしい。スキルの影響もありすぐにEランクに駆け上がると冒険者側も安心して森に送っていた。

 この間も偶然出会ったゴブリンを一人で討伐していた。スキル【剣士】と門番の息子だということもありギルド内でも今後の活躍が期待されていた。

「父ちゃん行ってくるよ!」

「おお、気をつけて行って来いよ! 今日でEランク依頼終わりだな!」

「おう!」

 現在Eランクで今回の依頼が達成できれば十五歳になった時には正式な冒険者となる予定だった。

 この時まではちゃんと冒険者になると思っていた。