俺は狼に連れられるとそこにはリーフ草が群生していた。

「おお! 流石だボス!」

「ガゥ!」

 狼は俺に体を擦りつけていた。

 いつのまにか狼のボスだったため、俺はボスと名付けていた。

「これだけあればリーフ草は足りそうじゃな」

「これって刈り取ってもいいの?」

 俺は採取をするために図鑑は見てきたが採取の仕方を聞いてくるのを忘れていた。

「根だけ残せばすぐに生えてくるじゃろうが実際は茎も大事だからな!」

「それじゃあ葉だけ持っていくべきなんだね」

 さすがコロポ大先生だ。薬草の特徴までしっかり知っていた。

「ここは魔素も多いからすぐに成長するが、茎がないとそこから魔素を吸収し始めるから時間がかかるんじゃ」

 一般的に葉が回復ポーションとして使用されるが、知識が無い冒険者は採取の効率化を図るために茎から採取してしまうらしい。

 いつも隠れながら見てたコロポはそれに腹立ちを覚えていた。妖精もリーフ草を使う機会があるらしい。

 その結果すぐに生えてくるリーフ草も知識がない冒険者のせいで生えにくく群生地になること少なくなったらしい。





 採取を始めてから数時間で予想よりも多い五束も採取出来ていた。それでもまだリーフ草はたくさん生えている。

「まだたくさん生えてるけど今日はここまでにして帰ろうか」

「クゥーン」

 俺の帰るという発言にボスは誰から見てもわかるぐらい落ち込んでいた。

「また明日も来るからさ」

「ガゥ……」

「キャー!!」

 ボスは俺に顔を擦りつけていると、何処からか少女の叫び声が聞こえてきた。

「今の何?」

「人間の叫び声じゃ! 」

「さっき叫んだ子がどこにいるかわかるか?」

「ガゥ!」

 ボスはやはり賢い狼なんだろう。俺の言ったことが伝わっているのか、狼の群れとともに森の中を颯爽と走って行った。

 俺は自身が出せる速さで走るがそれでもボス達には追いつけないでいた。

「ケント止まるのじゃ」

「えっ!?」

 急にコロポに声をかけられ俺はその場で立ち止まった。

「ここからは魔物が出てくる領域だ」

「えっ……」

 コロポが止めたのは俺が魔物が出現すると言われている、川の境界を知らぬ間に超えいたからである。

「でもこのままじゃ置いてかれるよ」

「仕方ないな……」

 コロポは呆れた顔で俺を見ていた。

「ギルドで貰った魔物避けのお香を体に吹き付けるのじゃ! それからすぐに短剣が抜けるように準備するのじゃ」

 コロポに言われるがまま、魔物避けのお香を自身に振りかけ、短剣に手をかけた状態でボスを追うように俺は走り続けた。