依頼【F.治療院の手伝い】を達成させるために、冒険者ギルドから東の方へ歩いて行くと十字の看板があった。
見た目はこじんまりとしており、どこか前世のクリニックみたいな雰囲気だ。
扉を開けるとそこにはたくさんの棚があり中には瓶が置いてあった。
「こんにちは! 冒険者の依頼に来ました」
「おー、今行く!」
大きな声で挨拶をすると声が返ってきた。奥から細身で白と青のローブを着た男性が現れた。
「はじめまして。Fランク冒険者のケントです」
「おお、礼儀正しい子だな。治療院のハンスだ。いつもいるアシスタントが最近体調を崩してるから冒険者に依頼を出したがケントならどうにか大丈夫そうだな」
仕事内容は基本的にはお客さんの対応が中心で、今の症状や来た理由を確認し待合椅子に誘導する。
その後、ハンスに呼ばれたら順番ずつに診療室へ呼ぶという流れになっていた。
また、症状が重篤そうな人が見えた場合はすぐにハンスに伝えるという仕事だ。感覚的には病院の事務職に近いのかな?
「じゃあ、今説明した通りだけど大丈夫そうか?」
「はい! やってみます」
一通り説明を聞き終えると定刻の時間になったため治療院が開店した。
♢
異世界の病院もやはり流行っているのか患者さんは止まることなく、少しずつ日が暮れていた。
「えーっと……症状は咳と鼻水ですね」
「後は体がだるいかな」
「わかりました。またお呼びしますのでこちらの席でお待ち下さい」
俺はお爺さんを待ち合いの椅子に座らせハンスに声をかけた。
「ハンスさんそろそろ時間になりますが……」
「じゃあ、次の人が最後でもう呼んでくれー!」
「わかりました」
俺はお爺さんに声をかけ一緒に診療室まで入っていった。
「えーっと、症状は咳と鼻水です。ただの風邪だと思うので薬を出しておきますね」
俺は前世の医学と比較していた。特に問診はするが触診や聴診などはしていなかった。
ハンスは棚から薬を取り出すと何かを唱えていた。
次第に手が光り手元にあった瓶に吸収されていくと中にあった水分の色が白から黄色に変わっていた。
「薬をしっかり飲んでまた何かあったら来てください」
「先生ありがとうございます」
そう言ってお爺さんは診療室を後にした。
「今瓶の液体の色が変わったんですけどあれって何ですか?」
俺は先程気になっていたことをハンスに聞いた。
「あれは私のスキル【薬師】で薬に回復魔法を追加出来るんだよ!」
「えっ?」
俺は自身のスキルと類似していることに驚いていた。
俺は優しい心を持った状態でスキル【理学療法】を行うと回復魔法が発動されていた。
しかし、ハンスは薬を持つことで回復魔法を追加し回復力を高めていた。
「僕達回復系スキルって基本的には何か治療行為に追加されて発動されるんだ。スキル【神官】や上位スキル【聖女】は祈りによって回復魔法が発動されるから、教会で祈りを捧げることで回復魔法が発動されたりね」
俺は生まれてから初めて回復系スキルの発動方法を聞いた。
スキル【理学療法】がスキルを授かった時回復系と知っていれば、奴隷として売られることも無かっただろう。
「ここで治療が無理だと思ったものには教会で回復魔法を受けて貰う仕組みになってるんだ」
「そうなんですね」
「回復系スキルって必要性は高いけど、中々利便性は微妙だからね……。そういえば今日はありがとう。これが依頼達成報告書だ」
ハンスは紙に名前を書き魔力を込めると俺にその紙を渡した。
そこには依頼内容とハンスの一言、サインが書いてあった。
依頼書と同じ物にサインをすることで依頼が達成される仕組みになっているらしい。
「お疲れ様です。また何かあったら依頼出しておくからよろしくね!」
「あっ、そういえば鍛冶屋ってどこにありますか?」
「鍛冶屋は四件ほど隣に行って裏側にあるよ」
「ありがとうございます!」
俺は無事初依頼【F.治療院の手伝い】を終え、次の依頼である鍛冶屋に急いで向かった。
見た目はこじんまりとしており、どこか前世のクリニックみたいな雰囲気だ。
扉を開けるとそこにはたくさんの棚があり中には瓶が置いてあった。
「こんにちは! 冒険者の依頼に来ました」
「おー、今行く!」
大きな声で挨拶をすると声が返ってきた。奥から細身で白と青のローブを着た男性が現れた。
「はじめまして。Fランク冒険者のケントです」
「おお、礼儀正しい子だな。治療院のハンスだ。いつもいるアシスタントが最近体調を崩してるから冒険者に依頼を出したがケントならどうにか大丈夫そうだな」
仕事内容は基本的にはお客さんの対応が中心で、今の症状や来た理由を確認し待合椅子に誘導する。
その後、ハンスに呼ばれたら順番ずつに診療室へ呼ぶという流れになっていた。
また、症状が重篤そうな人が見えた場合はすぐにハンスに伝えるという仕事だ。感覚的には病院の事務職に近いのかな?
「じゃあ、今説明した通りだけど大丈夫そうか?」
「はい! やってみます」
一通り説明を聞き終えると定刻の時間になったため治療院が開店した。
♢
異世界の病院もやはり流行っているのか患者さんは止まることなく、少しずつ日が暮れていた。
「えーっと……症状は咳と鼻水ですね」
「後は体がだるいかな」
「わかりました。またお呼びしますのでこちらの席でお待ち下さい」
俺はお爺さんを待ち合いの椅子に座らせハンスに声をかけた。
「ハンスさんそろそろ時間になりますが……」
「じゃあ、次の人が最後でもう呼んでくれー!」
「わかりました」
俺はお爺さんに声をかけ一緒に診療室まで入っていった。
「えーっと、症状は咳と鼻水です。ただの風邪だと思うので薬を出しておきますね」
俺は前世の医学と比較していた。特に問診はするが触診や聴診などはしていなかった。
ハンスは棚から薬を取り出すと何かを唱えていた。
次第に手が光り手元にあった瓶に吸収されていくと中にあった水分の色が白から黄色に変わっていた。
「薬をしっかり飲んでまた何かあったら来てください」
「先生ありがとうございます」
そう言ってお爺さんは診療室を後にした。
「今瓶の液体の色が変わったんですけどあれって何ですか?」
俺は先程気になっていたことをハンスに聞いた。
「あれは私のスキル【薬師】で薬に回復魔法を追加出来るんだよ!」
「えっ?」
俺は自身のスキルと類似していることに驚いていた。
俺は優しい心を持った状態でスキル【理学療法】を行うと回復魔法が発動されていた。
しかし、ハンスは薬を持つことで回復魔法を追加し回復力を高めていた。
「僕達回復系スキルって基本的には何か治療行為に追加されて発動されるんだ。スキル【神官】や上位スキル【聖女】は祈りによって回復魔法が発動されるから、教会で祈りを捧げることで回復魔法が発動されたりね」
俺は生まれてから初めて回復系スキルの発動方法を聞いた。
スキル【理学療法】がスキルを授かった時回復系と知っていれば、奴隷として売られることも無かっただろう。
「ここで治療が無理だと思ったものには教会で回復魔法を受けて貰う仕組みになってるんだ」
「そうなんですね」
「回復系スキルって必要性は高いけど、中々利便性は微妙だからね……。そういえば今日はありがとう。これが依頼達成報告書だ」
ハンスは紙に名前を書き魔力を込めると俺にその紙を渡した。
そこには依頼内容とハンスの一言、サインが書いてあった。
依頼書と同じ物にサインをすることで依頼が達成される仕組みになっているらしい。
「お疲れ様です。また何かあったら依頼出しておくからよろしくね!」
「あっ、そういえば鍛冶屋ってどこにありますか?」
「鍛冶屋は四件ほど隣に行って裏側にあるよ」
「ありがとうございます!」
俺は無事初依頼【F.治療院の手伝い】を終え、次の依頼である鍛冶屋に急いで向かった。