しばらくマッサージするとおっさんは息を荒げていた。女性なら可愛いが見た目は小さいが完全におっさんだからな。

「はぁ……はぁ……生まれて初めてこんなに気持ちいいのを体験したぞ」

 ちょっと雑にやったおかげか、小さいおっさんは乱れに乱れきっていた。

「どこにこんな需要があるのか……」

 俺はボソッと呟いているとおっさんは何か考えていた。

「よし!!」

「ん?」

「これからずっとお主と居よう――」

「遠慮しておきます!」

 まさかと思った言葉が小さいおっさんから聞こえてきた。俺は最後まで聞くことなく拒否することにした。

「早いんじゃ! まだわしは何も言ってないではないか」

「どうせマッサージの良さにずっと付いてくるつもりだよね?」

「うぐ!? あっ……いや……そのだな……」

 俺にすっかりお見通しされていた小さいおっさんは動揺していた。

「まぁ、ここの森で生活するつもりだから別に良いけど――」

「な! ここにいる間で良いからな! ほんの先っちょだけでいいから……」

 先っちょだけでいいってどういうことだ。そもそもそれは女性に使う言葉であって男の俺に使うものではない。

「わぁ、わかったよ」

 あまりにもキラキラした眼差しを向けてくる小さいおっさんに俺は頷いた。

「やっほーい!!」

 小さいおっさんは喜んで俺の回りを周っていた。

「小さいおっさんは名前あるの?」

「名前か? 『コロポックル』っていう種族名はあるが名前なんて持ち合わせてないぞ?」

 小さいおっさんって呼ぶのも可哀想だしな……。

「よし、じゃあこれから『コロポ』って呼ぶか」

 俺が『コロポ』と名前を呼んだ瞬間にコロポの中心に光が纏い輝いていた。

 数分もしないうちにその光はコロポの中に入りケントの頭にアナウンスが流れた。

「妖精『コロポックル』を使役しました。それに伴い魔力量が増加します」

「えっ……」

 俺は脳内のアナウンスに驚いていると、小さいおっさんを纏っていた光は体に吸収され光は消えていた。

「はは、使役されるってこんなもんか。 ほれ、見た目も少し若返ったぞ!」

「いやいや、まだ小さいおっさんだからな! ってか使役ってなんだよ」

 見た目は六十代から五十代になったぐらいの変化しかなかった。

「ははは、使役はパートナーみたいなもんじゃ! これからもよろしくな!」

「おいおい、俺はもうちょっと可愛い妖精を使役したかったわ」

「ははは、それは残念やったな。これからもあのマッサージを頼んだぞ! ほれほれ、はやくやらんか」

「くそ!」

 ケントは小さいおっさんのコロポを掴み、強めに指圧した。

「ああん、もっとそこを強く!」
 
 その日の森はずっとガラガラ声のおっさんの声が響いてた。

 ちなみに後で聞いた話ではコロポックルの使役は相手の鼻の中に自身の指を入れるらしい。

 先っちょだけでも良いってそういうことかと俺は納得した。