この物語での“手品師”
その正体を知っても、すぐには飲み込めなかった。
一体、なにを表しているのだろう。
読み終えて、ずっと考えた。
この物語の主人公は五歳の少年。
嫌なことがあったら素直に言ってしまうような年齢だろう。
それを抱えて、どうしようもなくなったときに出会ったのが、“手品師”
彼が消してくれたのは、少年が抱える、心の暗い感情。
そして気付いた。
少年は、その暗い感情との付き合い方を知ったのではないか、と。
素直に嫌だと言わず、自分の中で処理をする。
それはもう、大人に近付いたとも言えるのではないかと思った。
子供だってなにかを抱えていて、自分で成長できる。
折り合いをつけることができる。
子供の可能性を感じられる物語だと思った。