群青の世界を色づけた君へ



 今日も疲れたなー。夜、お風呂で指マッサージしようっと。
 「ただいまー!」
 「おかえり!あっ楽空、なんか楽空宛に封筒来てたから楽空の部屋の机の上に置いておいたよー」
 「え?封筒?ありがとー」
 お母さんに言われ、部屋へと向かった。
 机の上には「夜瀬楽空様」と書かれた封筒が置かれてあった。
 ん?なにこれ?誰からだろう......?
 楽空は、滅多に来ない封筒を手にした。裏返すと、
 「白川絵橙......え?!絵橙??!!」
 最後に会ったのは2年前。まさかこんな形で彼の名前を目にするとは。
 なんでわたしの家の住所知ってるんだろう......?教えたことあったかな?
 わたしは封筒を開けた。
 そこには「チケット......個展......」まさか。
 そして手紙も添えられていた。
 「最終日にお越しください......なんで最終日?時間は・・・」
 チケットに書いてある日時を見る。
 「あ......」
 視界が急にぼやけて右目から涙がこぼれ、頬を伝った。
 「最終日は11月1日......覚えててくれたんだ......約束の日」
 胸が締め付けられるほどに嬉しかった。
 早く彼に会いたい。
 彼の絵を見たい。
 彼への想いが溢れ出した。
 「まって......11月1日って2日後?!」
 急いで予定を確認した。
 よかった、大丈夫だ。あの時間には間に合いそう。
 わたしは大きく深呼吸をした。
 2日後、彼に会えることを考えると、一気に胸が高まった。
 わたしはチケットを見つめた。

 この気持ちの正体は分かっている。
 この想いをもうしまいたくない。
 伝えたい。
 願うならば、同じ想いがいいなと思う。

 早く絵橙のあの笑顔が見たいと思った。
 桜色があふれるあなたの笑顔を。
 『約束の日』にあなたに会いたい。