彼女が教室から出て、俺も落ち着きを取り戻し、俺は、白い鳥の絵を描き始めた。
まずは、群青色を一面に塗る。
やはりなぜだか安心してしまった。
群青色というのは、俺を落ち着かせる色であることは間違いない。
後に、白色と黄色を混ぜた色で1羽の鳥を、中心に描いていく。
『群青色の世界でたった1羽の鳥』
この鳥は俺なのか。
この鳥は彼女なのか。
どちらにせよ、この世界から羽ばたいて欲しいと思った。
しかし、俺のこんな群青色だらけの絵を見て彼女はどう思っていたのか。
心の中では、寂しい絵。冷たい絵。悲しい絵。
こんなことを思っていただろうか。
「パサッ」
その時、外に目を向けると1羽の白い鳥が海の方に向かって飛んでいた。柔らかそうな白い羽を羽ばたかせ、美しくまっすぐ飛んでいった。
1羽しかいないはずなのに、その1羽からは何羽も集まって飛んでいるような力強さが感じられた。
その鳥が見えなくなった後、俺は自分の絵を見た。
そう、俺は決心した。
俺は彼女に伝えたい。伝えてみたい。
彼女なら俺を受け入れてくれる。そう思った。
再来週の月曜日。
俺はこの日がどの日よりも飛び出して見えた。
彼女は俺の絵を褒めてくれた。
俺の絵に音を重ねてくれた。
そんな彼女に本当の自分を見せたい。
彼女の1番好きな夕焼けの空とともに。