6月も終盤。
ふと窓から外を見る。
灰色が際立つ重苦しい曇り空が続いていた。
お昼ご飯はいつものように、空いている教室で楓と一緒に食べる。
「絵橙!最近なんかあったん?」
「え??」〈ポロッ〉
突然の質問に卵焼きを落とした。運良くお弁当のフタの上に落としたからセーフ。
「別になんもないけど」
フタの上にある卵焼きをお箸で口へと運ぶ。
「夜瀬さんと最近仲良いでしょ」
思わず顔を上げ楓を見ると、ニヤニヤしながらそう言っていた。
「ゴクッ......ん?!え、なんでそれをし......」
「だと思ったわー」
楓は俺の言葉を遮って言った。
「というのは嘘でー、本当は桜さんに教えてもらった!」
桜さんかー......。夜瀬さんと仲良いもんな。女子同士ならそのくらい話すか。って、え?
「楓だってなんでそんなに桜さんといつの間に仲良くなってんだよ?!」
「あれ?言ってなかったっけ?俺と桜さん、同じ塾でたまに会うんだよ、それで連絡先も交換したんだ〜」
楓はスマホを俺の前に出して見せびらかした。
そういうことか!桜さん、俺が恥ずかしいこと言ってたこととか楓に話したのかなー...。
チラッ。
楓を見ると美味しそうに唐揚げを食べていた。
うん、大丈夫そうだ。
楓のその姿を見て俺は安心した。