「私さ、色を見ると音が浮かんでくるんだよね。色っていうか......絵とか風景でも」
「え???」
俺はどういうことかさっぱり分からず、勢いよく彼女を見た。
すると彼女の顔から笑みが溢れた。
「ごめんねこんなこと言って......。白川くんに言いたくて」
「ううん、大丈夫」
色を見ると音が浮かんでくる......か......。
......あ!思い出した!あれのことか!!
そう、あの日。
彼女と桜さんが、俺と楓が部活をしている時に来て、俺の絵を見て何か言っていたことがあった。
「それってさ、前に桜さんと俺らのところに来た時、俺の空と海を描いた絵を見て夜瀬さんなんか言ってたよね?確か音が似合う......えーっと......レとソとシ...だっけ?」
それを言われた時、何を言っているのか分からなかったが、俺はその音を無意識のうちに覚えていた。
あれ、違ったかな......?
「そう!!!白川くんやっぱ、え??って思ってたよね!ごめんねついつい浮かんじゃうの。それであの時思わず口に出してた」
「謝ることじゃないよ!!それってすごいことじゃん!......夜瀬さんすごいな!」
しまった......。
思わずその才能というかなんというか、身についた力......?
とにかく、その凄さに興奮して口走ってしまった。
この沢山の楽器が置いてある静かな教室に、俺の声が響き渡っていた。
それをかき消すかのように彼女は、
「ありがとう!!!そんなこと言ってくれて嬉しい!!よかったー......!そう!それでね、その続きを白川くんに聞いてほしいの!」
「聞いて......ほしい?」
そう言った瞬間、彼女は鍵盤に指をのせていた。