★カプチーノ
いつも行くカフェは今日は珍しく静かで
恋の話とか、
のろけ話とか、
そういうものとは疎遠な空気だった。
カプチーノはまだ熱を帯びてて、
白くふわふわなフォームミルクが
雲のように熱を押さえ込んでいる。
一口飲んだあと、
明日から始まる現実の前に
少しだけ背きたいと思った。
★青くなる
最終バスに間に合った。
流れる街を見ていつか君と防波堤に座って
見た海を思い出した。
あれからずいぶん時が経ってしまって、
あのとき君が言った大切な言葉が思い出せない。
忘れてしまった幼く素直な思いも
水泡に溶けて青くなる。
タイムマシンに乗って
あのときの君にキスしたい。
★君以外
いろんな事をこれまで
失ってきたけど
君以外、
強く愛することができないと気づいた
世の中、
マーブルチョコをぶちまけたみたいに
色とりどりで目移りするけど、
大切なことは意外と素朴だったりする
純粋に君を抱き締めたい、と。
疲れきった身体で帰宅する通勤快速の中で強く思った。
★ある日。
急に息苦しさ感じカウンターに突っ伏した。
カフェの人目なんかどうでもよかった。
あのときの言葉を未だに信じてる。
だけど、そのときはとうに失われている。
たくさんのサプリを飲んでも
治らない心の傷はどうすればいい?
顔をそっと上げると
目の前のマグカップが巨大に見えた。
★恋の欠片
今日も時間は簡単に溶けた。
息がつまりそうな毎日だけど
それなりにこなせている。
夜更けにコーヒーを飲むように
謎に追い込み、
自意識過剰だから、
ベッドでは、
嫌なことは思い出さないようにした。
昔、ほったらかした恋の欠片を集めると、
新しい出会いと交換できたら、最高なのに。
★少し冷たい
冬の寒さは相変わらずで
このまま時が止まってしまえば
永遠の誓いなんていらないね
だから、手を繋ごう。
このまま君の横顔をみて、
黙々と寒い中を歩きたい
パンケーキが美味しかった
カフェの話とか
パスタが美味しかった
イタリアンの話とか
そういう話をしながら行くあてもなく歩こう
★君の瞳
ありきたりのUFOが
一瞬で水平線に吸い込まれていった。
とりあえず、
顔を見合わせて、
二人で暗黙の秘密にした。
透き通っている君の瞳は茶色いんだね。
そんなことより、
話の続きを聞かせてよ。
君が今朝、観たファンタジックな夢の話をさ。
どうして、君の話は飽きないんだろう。
★ふたりきり
真冬に路面電車を待つのは滅茶苦茶、
寒いけど
君と二人きりになるのは、すごくラッキーだ。
会話は妙に途切れるけど青いシャーベットを
溶かせるくらい胸が熱くなっている。
そんなんだから、
君が巻いているマフラーのフリンジが
風でなびくのが妙に気になるし、
マフラー誉めてみよっと。
★リセット
猛烈な眠気を吹き飛ばすために
淹れた濃いコーヒーを一口飲んだら、
よりほっとした。
今週のイライラや繁忙をこの一杯に
詰め込んで忘れよう。
ブラウン管の暖まりが悪いときのように
そっと、
ゆっくり、
頭を緩くしてあげよう。
そろそろ、持ち帰ったやるべきこと
やっつけよう。
★プリズム
冬はプリズムが似合う季節だから、
澄みきった空気に悩みなんかも
流せたら最高だね。
もちろん、
そんなことはできないから
プリンアラモードでも食べて、
気晴らしするのが、現実的だね。
どうせいつも、損な立ち回りなんだ。
ため息を一つ、ついた後、
チェリーを一口で、食べましょう。
★理想
ベッドに寝転んで
iPhoneで無数の情報を読み漁っている。
プラスチックで出来た
ピンクのキッチンで理想の生活を描くように
淡い夢を見させて。
今すぐ買うボタンで明るい未来が届けられる。
そんな世界だったら、結局、平凡を選ぶのだろう。
寝落ちしたら、
そんな世界に連れていって。
★感電
君の手を繋ごうとしたら、
静電気に阻まれた。
君は少し、恥ずかしそうに笑った。
キャンディが酸っぱく溶けるように
照れているのはお互い様だね。
もう一度、
そっと、
君の手を握ろうとしたら、
中指の腹が柔らかく触れあった。
一瞬の間のあとに
しっかり繋いだ手は冷たかった。
★遠くの君
曇るガラスから見る
夜の街並みはきらびやかで
バスは確実に街から離れていく。
君に会うために
乗った夜行バスは
何人かしか乗っておらず、
暖房の濁った空気が充満し、眠気を誘う。
遠距離のままでいたくないけど、
今は仕方ない。
人差し指でそっと、
ガラスに目と口の線を描いた。
★リフレッシュ
ご褒美のハーゲンダッツを開けた瞬間が
今夜のハイライトだね。
今日もそれなりに頑張った。
マルチタスクを当たり前にこなし、
しょうもない調整ばかりした。
そんなこと、
とりあえず忘れて、
一口目を最大限に噛み締めてみる。
ぼんやりした頭が晴れて、
まだ、生きてる気がした。
★砂浜で
誰もいない砂浜で君とキスをした。
真冬の海はしけていて
君の髪は綺麗に乱れている。
うねる白い波を見て
君ははしゃいで、黒いスカートを揺らしていた。
君の無邪気さが無敵なら、
どんな無理ゲーも、無効にしてくれるね。
手を繋いで帰ろう。
車で暖まって、コーヒーを飲んで一服しよう。
★夜が更ける
真夜中のマックで
君との話は尽きないから
すでに私のポテトもコーヒーも
空になっていた。
なんで君と一緒にいると時間が、
メレンゲの泡みたいに溶けていくのが、
早いんだろうね。
私みたいのに付き合うなんて、
君も寂しいんだね。
それならお互い様だね。
ねぇ、ずっと一緒にいて。
★隣町へ
冬の白い日差しはホームを照らしている。
隣町に住む君に会いに行く。
柱にもたれかかり
視線は上に、
まぶしい空を眺めている。
握ったままのiPhoneをほったらかして、
君との予感をぼんやりと感じている。
君がこの前言った
あの言葉の意味とか、
意図とか、考えてたら
電車の接近警報が鳴った。
★ふたりぼっち
公園のベンチに座り、
君と二人マフラーしてさ、
手を握りあってる。
アイスクリームみたいに溶ける恋愛を
今、瞬間冷凍して、君と食べたい。
君との青春はあっという間で、
未だに照れているのは、お互い様だね。
春になったら、
一緒に手を繋いで、
あそこに見える桜並木、
並んで歩こう。
★ターミナル
保安検査場を抜け、
ベンチに座り、搭乗を待っている。
iPhoneを握りながら、
朝日が反射してる大きな機体を眺めていた。
一人旅をするのは半年ぶりで、
焼きたてのチョコパイを
頬張る瞬間くらい、うきうきしている。
寂しくなんてない。
果てしない景色を見て、
現実と絶交してやるんだ。
★一目惚れ
ずっとインストールしたかった
この胸のときめきは
あなたと目が合った瞬間から沸き上がった。
長い廊下を駆けるように
純粋な衝動と鼓動を一緒に
8ビートに変換しよう。
あなたのことをじっくり聞きたい。
ドキドキを感じながら。
廃盤になったお菓子、
いっぱい買いだめしてるから、
それ食べて話そう。
★駆け抜けよう
夕日が射してまぶしい階段を
二人きりで降りている。
君との会話は学校の噂とは無縁で、
妙に緊張するのは、なぜなんだろう?
階段を降りきったとき、
「現実から抜け出したいね」
と君はぽつりと言った。
このまま、君と旅に出て、
誰もいない雪原の上を、
君と歩きたいと強く思った。
★優しい夜
夜のスタバに来たのは、
タイムラインに流れた
限定フラペチーノの画像の所為だ。
今、目の前にある魔法をiPhoneで画像にした。
願いが叶いにくい世界だから、
熱した夢を冷まさないように
自分に甘くすることに決めている。
一口飲んだら、
最高のピンクみたいに、
ファンタジックだった。
★君は幻
ずっと忘れていた。
幼かった君と教室で語り合っていたこと、
この街に戻ると胸が痛むのは、
過去の選択肢しくじったからだ。
恋愛のやり方も知らなかった。
二人は想いを伝えなかった。
もう二度と会うことはない。
すでに思い出補正かかって、
事実は歪められているんだろう。
今、君とすれ違いたいな。
★私を見て
iPhoneで恋愛記事みて、あなたの気持ち探る。
私から言っていいかな。
昨日、
二人で恋愛観なんかを話してるのにさ、
そろそろ気づいてほしい好意があること。
無くなったドールハウスの赤いソファを探すように
私を見てほしい。
あなたからのLINE通知、
新着メッセージがあります。
一瞬、期待した。
★雨のキス
外は雨が降ってるから、
コーヒーでも飲んで待っていましょう。
昼から独りでアパートの前の路地を見ていると、
まるで自分が調子悪いみたいだ。
傘をさして、延々と君と話した
初恋のことを思い出した。
もし、タイムスリップ出来たら
あの日の君にキスして、
永遠に会える君に変えたい。
★冬の終わり
「もうすぐ、冬が終わるね」
そういう君はお団子ヘアが似合っていて
とても寒そうだった。
もっと、早く出会いたかった。
そうしたら、
苺のような酸味、感じなくて済んだのに。
次元が歪むくらい君との話は尽きない。
だから、スタバ行って続きを話そうよ。
LINEよりリアルを感じよう。
★甘い誘惑
急にこなすのがイヤになって、
コート羽織って、
用もないのに夜の外に出た。
凛とした空気が
バニラのように眠気を遠ざける。
何もやる気ない訳ではない。
ただ、疲れているだけだよ。
イチゴに大量の練乳かけて、
ぐちゃぐちゃにして、
衝動的に食べたい。
コンビニで限定スイーツ買おう。
★めげないで
チョコレートをかじって忘れてしまおう。
今、頭抱えてる煩わしいことなんてさ。
さっきネトフリで観た
古い恋愛映画の甘い余韻に浸っていよう。
もう一本、映画観て
夜更かしすることにしよう。
現実なんてって、嘆く前にさ、
キャンディの包み紙のように、
カラフルな幸せ見つけたい。
★空飛ぶクジラ
3秒のキスはチョコが溶ける
早さと同じくらいに感じた。
辺りは静まりかえっていて、
夜の公園は二人だけのものだった。
願っても相変わらず
時は止まらないから、
君と一緒に空飛ぶクジラに乗って
荒野を探索しよう。
そんな約束を提案したら、
君は小指を差し出して、
大好きだよと言った。
★雨音が響く
雨音は響く。
今日も雨は降り続く。
単調な毎日を過ごせてるだけ
すごいことだけど
いつも君に会えないから満たされない。
いっそう、
全部の不幸をぶちまけよう
おもちゃ箱をひっくり返すように。
オーロラを眺めるペンギンのように
君と幻想的な自由を得たい。
雨上がりに君に会いたい。
★週末の流氷
20時の電車はみんな疲れている。
送ったメッセージは未読のままで、
モヤモヤして返事待っている。
今度の週末は二人でゆっくりしたい。
例えば、星形のクッキーに乗って
流氷を見に行こう。
氷原に沈む夕日のオレンジに
むかって乾杯しよう。
そしたら、間違いなく気持ちが晴れるね。
★そっと歩こう
雪の木曜日にロマンティックを求めたい。
ネガティブなことすべて、吹き飛ばして。
だけど、
現実は甘くないから、
ダイヤの輝きみたいに無難を祈って眠るよ。
もし、雪原で君の無邪気さが見れたなら、
こんなに最高なことはないよね。
だから、今夜の夢のキャストは
君が中心だからね。
★レイトショーに行きましょう
雨が降っているから、
レイトショーに行きましょう。
早めのディナー済まして。
今年、最高と噂になっている
ラブロマンス、観に行きましょう。
シャイな君とは、
なぜか上手くいく予感がするんだよ。
手を繋ぐのは、
まだ緊張するけど、
今の悩みを忘れる劇薬は
君だということは確かだよ。
★もし寿命が200年だったら、この愛をどう処理すればいいの?
カフェの窓越しに夜の銀色な街を眺めていたら、
色々、失ったことを思い出して、
少しセンチメンタルになった。
もしも、ホッキョククジラみたいに
寿命が長くなったら、
どうやって感情を処理して、生きればいいんだろう?
もう二度と会えない
君と今、デートしたら
どれだけ会話が弾むんだろう?
★おめでとう
家でリラックスして飲む
ワインでほろ酔いしたよ。
だから、大好きなあなたに
しっかり好きだと伝えたい。
素敵なあなたと一緒に踊りましょう。
ダイニングテーブルから飛び降り、
テレマーク決めて、
一緒にお祝いしましょう。
大嫌いな束縛から自由にしてね。
大好きだから、ボトル空にしようね。
★明日はバレンタイン
スポンジに生クリームを絞り乗せるように
君にありったけの気持ちを示したい。
青のバスソルト入れた浴槽の中で渡し方、
思案するよ。
今夜は、君だけのショコラティエになったよ。
心を込めて作ったチョコムース。
冷蔵庫で想いも冷やしている。
明日はバレンタインだから、丁度いいね。
★雨が上がれば
冬の雨で濡れた夜の渋谷スクランブル交差点は
無数の夢の色を反射してるみたいに青白い。
こんな雨なのに誰かと待ち合わせしてる人は、
自分も含めて、すごく多いことに感激する。
今夜がどうなるかなんて、
まだ、何もわからないけど、
君に会えるという事実できゅっとする。
雨、上がればいいな。
★失恋ソング
皿洗いをしながら、
君が好きだった歌を口ずさんだ。
そんな記憶って、
どうして、
どうでもいいときに
甦ってくるんだろうね。
雪道をよちよちと歩くペンギンのように
前だけ向いて生きたいな。
さよならは言いたくない。
感情が強くなってスポンジ握ったら、
無数のシャボンが生まれた。
★恋人になりたい
最高に目覚めが良い朝、
友達の一線を越えたくなった。
だけど、今の関係を壊すのは少し怖い。
青い夢のように二人きりで手を繋ぎ、
ゆっくり歩くのが緊張する関係になりたい。
だから、しっかり決意して君に会おう。
最後にご褒美のパフェを食べて、
祝福と一緒に恋人になれたらいいな。
★スフレプリン
今日も無難に終わったことを
スフレプリン食べて祝福しよう。
チーズスフレの優しさと
カラメルのほろ苦さで今日のこと忘れよう。
つらい日々はまだ続く見込みで、
最近、楽しみなことが少ないから、
黙々と現実を堪え忍ぶよ。
これがファンタジーなら、
現実変えるヒントをカエルに聞けば解決できるね。
★午後の通知
午後3時のカフェは落ち着いていて、
ぼんやりするには最適だった。
悩んでる恋愛は一旦、置いておいて、
親指でタイムライン遡ろう。
クラッカーにチーズを乗せて食べるように
最高の組み合わせを見つけたい。
君からの通知、急に届いた。
まだ温かい紙コップ持ち、
コーヒーを一口飲んで落ち着こう。
★恋を取り戻す
タイムスリップをして、14歳の君に再会した。
公園で君と手を繋いで、
流れる雲を眺めて、無限に歩いた
君は急に立ち止まり、
僕がタイムスリップしてることを指摘した。
キスで誤魔化したら、
君もタイムスリップしてることを告げた。
「お互い、報わない初恋を叶えようとしてるなんて笑えるね」
と君は言った。
★絵空事
防波堤に腰かけて、
君と二人で世界征服を画策しよう。
途方もなくつまならい恋愛なら、
そんなの切り捨てて、次に進もう。
「なーんちゃって」を
話のオチにはさせないよ。
なぜを繰り返して、
絵空事を真実に持っていくよ。
君の今の悩みが過去に縛られているなら、
連れ出してあげるよ。
君次第さ。
★ポップキャンディ
何度も見たデジャブ。
悪い夢とはサヨナラしよう。
最近、健忘が多くなってきた。
外に出ることは天使に会うときくらい億劫で、
いつものキャンディ舐めて、呼吸を整えるよ。
社会は複雑らしいけど、
そんなのはどうだっていい。
地球は丸い。
ただ、それだけで十分さ!
さあ、明日もしっかり飛ぼう。
★たまに寂しい
街は今日も陰気な雨が降り続いていた。
雨上がりの夜道はキラキラしている。
特別なことは今日もなかった。
冷たい海中でアシカと手を繋ぐような
優しい親しさが欲しいけど、
今はそんな予兆もない。
昔の君なら、
今、どんな言葉かけてくれるかな。
冷たい雨粒が一滴、
手のひらにあたった。
★無口な私
カフェを出た後の
散歩は寂しいのはなぜだろう。
二人きりの時間は
まだ、たっぷりあるんだから
とにかく、素直に歩いていきましょう。
無口を気まずく感じるんだったら、
捨ててもいいよ。
だけど、
それを認めてくれる関係なのは
もう、知ってるから安心だね。
あー、時が止まればいいのに。
★秘めた愚痴
小さいときから、
暗闇が怖くて
夜道を一人で歩くのは少し苦手だ。
足は今日もむくんで張っている。
あともう少しで家に着くよ。
家に帰ったら、
硝子のジュエリーケースに、
ネックレスと秘めた愚痴も
片付けて飾ってしまおう。
幸せはお金で買えないなら、
働くのとどう両立すればいいの?
★海は知っている
灯台のある岬まで行こう。
夏のおだやかな海を思い出しながら。
もう少しで春だね。
助手席に座る君はそう言った。
フロントガラスから、
差し込む日は暖かくて気持ちいい。
夏に見た黄色いワンピース姿の君は
何十年経っても、きっと覚えているよ。
記憶の断片を星屑みたい集めて、
君を愛するよ。
★ティファニーで朝食を
春が近づいてきた陽気に癒されて
河川敷を歩く。
昨日笑えなかった分は、
今日笑えばいいし、
明日笑えなければ、
明後日笑えばいい。
ティファニーで朝食を取るように
優雅な気持ちでほっとしよう。
鬱憤や愚痴をぶっ飛ばす元気を
お日様からいただこう。
今日ぐらい最高の1日にしましょうね。
★悲しいときは
悲しいときはとりあえず、
ココアをゆっくり飲むことにしている。
冷たくて青い夜を駆けたいほど、
忘れたいけど、
叶わなかったことを忘れられない。
悲しいときはとりあえず、
次の願いをゆっくり、
考えることにしている。
だけど、
今日はそんなの硝子を膨らますように
すぐに出てこないや。
★ループ・ループ
君とのやり取りが頭の中でぐるぐる回る。
愚痴とブラックジョークの境目が
曖昧だった私の話を許してくれるかな。
もうすぐ花が咲き始めるけど、
心は上手く晴れないな。
世の中は今日もあれこれとうるさいね。
夜の公園、二人きりで
無敵の愛について語り合いたい。
もうすぐ、春になるね。
★理想へようこそ!
黄色い日差しの中を朝を感じて、ぼんやり歩こう。
夢の続きが見たかった。
今日もいつも通りの人混みだ。
都心の真ん中で愛を叫ぶダサい演出みたい。
「馬鹿みたい」を呟いても、
なにも変わらないことは知っている。
だけど、現実を駆け抜けよう。
通り抜けた世界でようこそ!
と歓迎されたい。
★雨、遅刻の君
雨の繁華街は淡いLEDで
まるでサイバーパンクの世界だね。
傘にポツポツと音を立て降る雨は止まらない。
映画の主人公にみたいに、
電話ボックスの前で君を待つよ。
街での思い出なんか夢みたいに一瞬だから、
遅刻するのはあり得ないね。
肩を叩かれて振り向くと、
君は悪気がなさそうに無垢な笑顔だった。
★傷口にトマト
失恋は雨と相性がいいのは
天気予報よりも正確な事実だね。
振られた時は静かに感傷を抱き、
そっと傘をさして歩きましょう。
現実逃避をしよう。
白い壁にトマトを投げつけて、
ぎっしり赤くするように。
明日の予報は雨だって。
そう伝える人はもういない。
あなたがいないと寂しい。
ただ、それだけだ。
★甘い魔法
春になり始めている公園を
手を繋いでゆっくり歩こう。
「好きだよ」と言った君は
ルージュで魔法をかけたみたいに
甘くて、切ないのは、なぜだろう?
君の手を離れないように
アロンアルファで密閉して、隙間を埋めたい。
春の強い風がぶわっと吹いた。
君はそっと手を離し、乱れた前髪を直した。
★夜は深まる
夜のスタバで君とのおしゃべりは尽きなくて
明日なんて、
もう、どうでもよくなってきた。
君の悩みを祈って、
そっと夢に変えてあげるよ。
限定のフラペチーノは
もう、とっくに空になってるけど
そんなのどうでもいいよ。
君との笑いが尽きないから
明日から、君が上手くいけば、
それでいいよ。
★上の空
君へ想いが伝えられず、
上の空のまま、
ぼんやり一日が過ぎていく。
マグカップのココアをスプーンで渦を作る。
湯気は夢みたいに弱く立ち込む。
そろそろ深い関係になりたい。
上の空のまま、
ぼんやりと憂鬱な恋の打開策を探すよ
わかってるよ。
答えなんてさ。
シンプルに気持ち伝えるだけだなんだよ。
★リフレイン
あの思い出を遡るよ。
この瞬間にタイムスリップして、
やり残した気持ち、
君に伝えてキュンとしたいね。
街にいつの間にか増えたスタバのように
優しい気持ちで美味しい思い出増やそうね。
いつの間にか、すれ違う。
二人だけの時間がなくなる。
そんな繰り返しを二度としない。
そのためのワープだよ。
★春のシュークリーム
冬が終わった今日は、
暖かくなったお祝いをしたくなった。
午後の柔らかい日に照らされて、
コンビニで買ったシュークリーム入った袋を
ブラブラさせて帰るよ。
なにも考えず、自分をゼロに戻しながら。
春風はちょっぴり頬を冷たくするけど、
切ない新しさを運んでいる。
明日もきっと上手くいくよ。
★歩道橋ラブストーリー
君といつもの歩道橋を渡る。
君は制服のスカートを揺らして、走っていく。
真下の国道は、無数の車が通りすぎていく。
無邪気な君は無敵の愛を
象徴しているみたいに見えた。
君が振り返り、
笑顔で「遅い」と僕を呼んだ。
春の匂いが乗った強い風が吹き、
君の髪が乱れ、最高に可愛かった。
★青い夢
青い夢をみた。
無邪気な君と手を繋いで
永遠に青い水辺を駆け巡っていた。
悩みも何もなく、
ただ、二人で甘く柔い時を作った。
簡単な話、
二度と目が覚めなければ、
君とずっと一緒に居れたのに。
目覚めて、おはようがすべてを溶かす。
君にかけられた優しい言葉も
泡みたいに忘れてしまった。
★さらば!
マシュマロを溶かすくらいの情熱で夢中になるよ。
君とのおしゃべりは甘くて飽きずに尽きない。
コーヒーも冷めるくらい時間が流れたね。
要所要所で君の優しさが滲む。
だけど、来月から離れ離れになる。
もう、引き止めないよ。
夢に向き合えばいい。
約束しよう。
帰って来るこの夏、一緒に海に行こう。
★君とソーダを飲みたい
「暖かくなったね」
君は微笑んでそう言った。
君とこうして歩いていると、
なぜ落ち着くんだろう?
空は無限な青さで、
このまま、飛び立てそうな気がした。
ソーダをちょっと飲むように
淡い刺激を楽しみたいね。
このまま、ぶらぶら歩いて、
人気のない公園のブランコ座って桜を見ようよ。
★この春も変われない
気持ちいい陽気の
川原をゆっくり歩いている。
今の悩みが、すべて捨てられそうな気がした。
春の匂いが胸を痛めるよ。
季節は巡って、また取り残された気持ちになる。
変わらない自分がもどかしい。
みんな平然を装って
自分の苦悩は胸に秘めているんだろうけどさ。
大人になれないや。
そんなに。
★サンセットブルース
学校の帰り道、
いつもの砂浜に寄って
二人で沈む夕日を眺めていた。
自販機で買ったコーラは
甘くて、爽やかで、
切ない味がした。
話の途中で時々、間が空くのは、
それだけ満たされている証拠で
何もないぼやけた時間を
一緒に過ごせるところが好き。
手を繋いで、今日のお別れのキスをした。
★蝶々結び
ほどけた靴紐を直した。
ボロボロのスニーカーは
真剣に生きた証拠に見えた。
いつも無難にこなして、
悪魔に魂を売って、
今の生活を守るよ。
休日はあっという間だった。
本音は永遠に出勤したくない。
帰ったら、ゆっくりビールを飲もう。
そんなこと忘れて、余韻に浸かろう。
まどろみが来るまで。
★春だから
昨日、あなたとはしゃいだのを
ココアを飲んで思い出している。
季節は過ぎ去って、
いとしき日々はパフェのように
一瞬で消えていくね。
覚めない夢のように真空パックして、
味わいたいときに引き出せたら、
どれだけ素敵なんだろう。
だけど、そのうち全て、
曖昧になるのはわかっている。
★チェリーブロッサム
アスファルトにたまった桜の花びらが舞う中、
君と二人で歩いている。
気持ちいい午後だから、
私は素直に君への思いを
伝えられる気がした。
君のこと思って、
今日も睡眠不足だったよ。
上擦った声で、一線を越える覚悟をした。
「ねぇ、好きだよ」
そう言ったら君は笑顔で振り向き、
抱き締めてくれた。
★夕日と桜
ベンチで二人きり、夕日を眺めている。
桜もオレンジに包まれて、弱い風に揺れている。
あの約束をしてから、
ずいぶん時間が経ったね。
あのときは背伸びして、
大人を気取って、
ちょっと不自然だった。
今でも好きだって、
強く言い合う関係になりたかった。
今からやり直せないかな。
まだ遅くないような気がするんだ。
★散り散り
先週、終わった恋が忘れないから、
今日もウキウキせずに低浮上かな。
君とは離れてしまった。
あっという間の出来事だった。
連絡することも、もうないんだろうな。
星空を眺めるオタリアみたいに
ぼんやりと愛を歌い合いたい。
慰めが次に繋がる。
きっと、誰だってそう言うけど、
今はあんまり前向けないや。
★春の憂鬱
春はいつも憂鬱になるけど、
君との尽きない会話は相変わらず鬱と無縁だね。
路地で日向ぼっこしている猫は気持ち良さそうな顔してる。
君となら上手く行くはずさ。
UFOキャッチャーに掴まれたテディベアみたいに
最強の愛嬌を振りかざしてよ。
君との単純な予感は
永遠になりそうな気がするんだ。
【初出】
蜃気羊 X(@shinkiyoh)
https://twitter.com/shinkiyoh
2022.1.3~3.31