◯1話
特殊な能力を授かったギフテッドがダンジョンに挑むのは当たり前のことだった。
ダンジョンからは特別なアイテムが手に入り、自己の能力を強化することもできれば、売って金銭を得ることもできる。
中には早々にひと財産を築き、引退して優雅な生活を送るものまでいた。

主人公であるロイ・アルビナスも、ダンジョンに挑んでいた。
最初の頃は夢と希望に満ちあふれていたロイであったが、どれだけダンジョンに潜っても、強くなれないでいた。
絶えない傷に悩まされ、ポーションの費用が嵩んでいく。
ギフテッドに投資する者もいるため、当初の活動資金はなんとかなったのだが、今では借金ばかりが増えていった。
新たに金を借りることもままならず、親のいないロイの人生は詰みかかっていた。

この日はどのパーティにも加えてもらえられず、やむを得ず単身でダンジョンへ。
あっさりと死にそうになったところに、ランナミアに助けられる。

ランナミアからは「弱いくせに一人でダンジョンに潜るな」と怒られてしまう。
短髪で剣士の格好をしていたランナミアの胸にうっかりと触れてしまうロイ。
「きゃっ」と女の子のような反応に、「女みたいな……」と言ってしまう。

ランナミアの胸元からは黒い平板が落ちる。「ああ、これが硬かったのか」とデリカシーのないことを言ってしまうロイ。
胸が平らで硬いと言われたと勘違いしたランナミアは頬をふくらませる。
ロイが平板を返そうとするが、怒りながら、いらないと言って立ち去ってしまう。

この平板はランナミアが単身でボスを倒して得たアイテムだった。しかし鑑定では価値がないと言われていた。
平板は2枚あり、使い方がわからないランナミアはプレート代わりに胸元に入れていた。

ロイが平板に指で触れると煌々と光りだした。初めてデベロッパーの能力が使えた瞬間だった。
もしも高価なアイテムだった場合はランナミアに返そうと思っていた。

この時、ランナミアの胸元でもう一枚の平板が光っていたが、ランナミアは気がつかずにいた。

◯2話
使えないギフトはZ(ゼット)ギフトと呼ばれている。絶望のゼットを意味する。
この日もパーティメンバーが見つからないロイ。
偶然に幼馴染であるキューと出会う。

子供の頃は小動物のように可愛らしかったキュー。一緒に遊んだこともあったが、キューがハンターになっていたことは知らなかった。
キューも同じく、使えないと言われるZギフトを持つギフテッド。

キューもパーティメンバーが見つからないでいたので、他のZギフトの2人を加え、4人でパーティを組むことにした。
ところがこの4人はほとんどモンスターを倒せない。
ろくな稼ぎもないままダンジョンでぼろぼろになり、その様子を他のパーティに目撃されてしまう。

酒場でZパーティと呼ばれ、からかわれる。
悔しい思いをした4人は翌日も同じメンバーでダンジョンへ。
弱いモンスターを倒して喜んでいたところ、横から他のパーティにとどめを刺されてアイテムを奪われてしまう。
この日の稼ぎはゼロ。4人はお金を出し合って1つのパンを買う。その話が他のパーティに知れ渡り、翌日からZギフト不可の募集ばかりになってしまう。

ロイらは意地悪をされて、偽の情報を掴まされる。宝箱があると思って行った場所に行くと、下の階層へのシューターに落ちてしまう。本来シューターは下の階層へのショートカットである。そこでロイたちはとても太刀打ちできないモンスターたちに囲まれてしまい、部屋状になった空間へとなんとか逃げ込む。

すべては稼ぎがないことが原因だった。ロイはランナミアに返そうと思っていた平板を売っておくべきだったのかと考えてしまう。
平板を取り出すと光り出し、見たことのない文字が浮き上がる。
キューは横から覗き見る。トランスレーター(翻訳)のギフトで文字を読む。
「これは何かを調べるための道具みたい」
半信半疑ながら、キューに従って操作をすると、部屋の外にいるモンスターは簡単に倒せると知る。
「まさか……」
モンスターを倒し、ロイたちのパーティは初めてまともな収入を得ることができた。

◯3話
翌日はこの平板について調べることにしたロイたちのパーティ。この平板はフォンという名称のデバイスだった。
ロイのデベロッパーギフトを使い、フォンからマップという名称のアプリを探り当てる。
マップには詳細な地図が描かれており、しかも、まだ未発見の領域までが掲載されていた。

半信半疑でダンジョンを捜索すると、これまで発見されていない未知のアイテムまで見つかる。一気にロイたちの能力が上がった。

酒場で大騒ぎのロイたちパーティ。ところが周りは沈み込んでいる。聞くと、ランナミアの消息が不明で、捜索隊が組まれることになっていた。

フォンをランナミアに返さなければいけないと思い出すロイ。
キューと他のメンバーに話すと、もう十分にアイテムを獲得したのだからとフォンを返すことに納得してくれる。

弱いと思われているロイたちのパーティはランナミアの捜索に加われない。
4人でダンジョンを探索していく。

ところがどの階層にもランナミアの痕跡は見つからない。
11階層まで降りていくと、ダンジョンに長期で潜っているハンターグループと遭遇する。誰かが12階層へ降りたとのこと。
ただし、今はボスが出現している可能性があり、12階層へいくことを止められる。
キューのギフトを使って、ボスについて調べる。そこにはボスの弱点が掲載されており、これなら倒せるのではないかとロイたちは12階層へ行くことにする。