エリシマム:花言葉「逆境にも変わらない愛」
「ごめん、今日飲み会になっちゃって。別日にしてもいい?」
ずっと楽しみにしていたのに。そんな不満が漏れそうになった。
楽しみにしていたのは私だけで、彼にとっては大したことのない約束だったのかもしれない。
「大丈夫だよ。じゃあ、また今度会おうね」
平気なふりをして私はメッセージを打つ。
スマホの液晶画面には雫が落ちた。
「別れたら?」と友達に数えきれないほど言われた。
合わない相手と付き合っていたら、お互いが苦しいだけ。
だから別れた方がいい。胸を刺す言葉はどれも正論で、だけど今の私にとって正解じゃない。
わかっていても、心は離れられない。
付き合いたてのときは、歳が離れているからとか、相手は仕事が忙しいからとか、理由をつけて不満を飲み込もうとしていた。
今日は一ヶ月ぶりに会う約束をしていたのに、仕事の飲み会があるからって会えなくなって、こんなことで拗ねてしまう自分が嫌でたまらなくなる。
前回なんて一日一緒にいる予定だったのに、友達から相談があるって連絡が来て途中で帰ってしまった。
それに彼には男女問わず友達が多くて、SNSで親しげにコメントしている女の人に嫉妬をしたり、誰がいいねを押してるのかとか気になってしまう。
「……馬鹿みたい」
いっそのことSNSのアカウントを消して、彼の周囲を見ないようにしたら少しは心の平和を保てるだろうか。
けれど、アカウントを消すのは構ってほしいみたいで、もっと子どもっぽく彼の目に映ってしまいそう。
大人になりたい。
埋まらない歳の差と、異なる環境と価値観。
私がもっと余裕のある人だったらよかったのに。
いつもなら大人ぶって飲み込んで、それで終わりだった。
だけど、今日はもう限界かもしれない。
「本当は会いたかった」
何度も打って消してを繰り返した一文。
それを震える指先で送信した。
今頃私のことなんて忘れて、飲み会を楽しんでいるのかも。
面倒くさいやつだって思われるかな。
そんなことをぐるぐると考えていると、スマホが振動した。
彼からの突然の電話に驚きつつも通話マークを押す。
『っ、ごめん!』
切羽詰まったような声がして、走っているような音が聞こえてくる。
『今から会いたい』
「……飲み会は?」
『抜けてきた。だから……今から行ってもいい?』
私が抱えていた不満が溶けるように消えていく。
単純だなと自分に呆れてしまうけれど、私の世界の中心は彼だった。
「寂しかった」
ずっと言えずに心に溜め込んでいた想いを初めて口にする。
『……うん。ごめん』
「ずっと楽しみにしてたのに。大丈夫なわけないじゃん。ばか」
『……ごめんな』
温かな涙が頬に伝う。
背伸びをしてしまう私にとって素直になるのは難しい。
でも、たまには子どもっぽくてもいいのかもしれない。
「だから、早く会いにきて」
「ごめん、今日飲み会になっちゃって。別日にしてもいい?」
ずっと楽しみにしていたのに。そんな不満が漏れそうになった。
楽しみにしていたのは私だけで、彼にとっては大したことのない約束だったのかもしれない。
「大丈夫だよ。じゃあ、また今度会おうね」
平気なふりをして私はメッセージを打つ。
スマホの液晶画面には雫が落ちた。
「別れたら?」と友達に数えきれないほど言われた。
合わない相手と付き合っていたら、お互いが苦しいだけ。
だから別れた方がいい。胸を刺す言葉はどれも正論で、だけど今の私にとって正解じゃない。
わかっていても、心は離れられない。
付き合いたてのときは、歳が離れているからとか、相手は仕事が忙しいからとか、理由をつけて不満を飲み込もうとしていた。
今日は一ヶ月ぶりに会う約束をしていたのに、仕事の飲み会があるからって会えなくなって、こんなことで拗ねてしまう自分が嫌でたまらなくなる。
前回なんて一日一緒にいる予定だったのに、友達から相談があるって連絡が来て途中で帰ってしまった。
それに彼には男女問わず友達が多くて、SNSで親しげにコメントしている女の人に嫉妬をしたり、誰がいいねを押してるのかとか気になってしまう。
「……馬鹿みたい」
いっそのことSNSのアカウントを消して、彼の周囲を見ないようにしたら少しは心の平和を保てるだろうか。
けれど、アカウントを消すのは構ってほしいみたいで、もっと子どもっぽく彼の目に映ってしまいそう。
大人になりたい。
埋まらない歳の差と、異なる環境と価値観。
私がもっと余裕のある人だったらよかったのに。
いつもなら大人ぶって飲み込んで、それで終わりだった。
だけど、今日はもう限界かもしれない。
「本当は会いたかった」
何度も打って消してを繰り返した一文。
それを震える指先で送信した。
今頃私のことなんて忘れて、飲み会を楽しんでいるのかも。
面倒くさいやつだって思われるかな。
そんなことをぐるぐると考えていると、スマホが振動した。
彼からの突然の電話に驚きつつも通話マークを押す。
『っ、ごめん!』
切羽詰まったような声がして、走っているような音が聞こえてくる。
『今から会いたい』
「……飲み会は?」
『抜けてきた。だから……今から行ってもいい?』
私が抱えていた不満が溶けるように消えていく。
単純だなと自分に呆れてしまうけれど、私の世界の中心は彼だった。
「寂しかった」
ずっと言えずに心に溜め込んでいた想いを初めて口にする。
『……うん。ごめん』
「ずっと楽しみにしてたのに。大丈夫なわけないじゃん。ばか」
『……ごめんな』
温かな涙が頬に伝う。
背伸びをしてしまう私にとって素直になるのは難しい。
でも、たまには子どもっぽくてもいいのかもしれない。
「だから、早く会いにきて」