サクラソウ:花言葉「初恋」
「次の授業なんだっけ?」
振り返ると、ああやっぱりとなった。
いつも彼の声だけは、すぐにわかる。
きっかけはなんだったのか、今はもう思い出せないけれど、気づけば目で追っていた。笑ったときに見える八重歯とか、手を叩く癖とか、彼に関すること情報が自然と私の脳内に入ってくる。
誰かのことで頭がいっぱいになるのは初めてだった。
けれど、思っていたよりも恋は綺麗なものじゃなくて、甘さよりも苦みの方が強い。
意識しすぎて話しかけることもできなくて、それなのに他の女の子と話しているのを見るとモヤモヤしてしまう。
一歩も踏み出せない自分に苛立ちと虚しさを覚えながら、ひっそりと見ていることしかできない。
今日も結局話しかけられなかった。
自分の席でひとり反省会をしていると、聞きなれた声が頭上から降ってきた。
「蛍光マーカー貸して」
私は慌てて、ペンケースから黄色のマーカーを取り出して彼に渡す。
「ありがと」
「……うん」
髪で顔を隠すように俯いて、心の中で「うわああああ」と叫ぶ。
一言、二言交わしただけなのに、好きが増していく。
これだから、彼を好きでいるのをやめられない。
「次の授業なんだっけ?」
振り返ると、ああやっぱりとなった。
いつも彼の声だけは、すぐにわかる。
きっかけはなんだったのか、今はもう思い出せないけれど、気づけば目で追っていた。笑ったときに見える八重歯とか、手を叩く癖とか、彼に関すること情報が自然と私の脳内に入ってくる。
誰かのことで頭がいっぱいになるのは初めてだった。
けれど、思っていたよりも恋は綺麗なものじゃなくて、甘さよりも苦みの方が強い。
意識しすぎて話しかけることもできなくて、それなのに他の女の子と話しているのを見るとモヤモヤしてしまう。
一歩も踏み出せない自分に苛立ちと虚しさを覚えながら、ひっそりと見ていることしかできない。
今日も結局話しかけられなかった。
自分の席でひとり反省会をしていると、聞きなれた声が頭上から降ってきた。
「蛍光マーカー貸して」
私は慌てて、ペンケースから黄色のマーカーを取り出して彼に渡す。
「ありがと」
「……うん」
髪で顔を隠すように俯いて、心の中で「うわああああ」と叫ぶ。
一言、二言交わしただけなのに、好きが増していく。
これだから、彼を好きでいるのをやめられない。